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北海道大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験 複素数平面・方程式・不等式理系数学 第5問(a)

複素数αβ(ただし,αβ0)が与えられている.α=a+bi,β=c+di(a,b,c,dは実数,i=1)とおく.

(1) 複素数z0α+β0の場合はz0=(bd)+(a+c)iと定め,
α+β=0の場合はz0=a+biと定める.
α=βのとき,
z0zの方程式αz+βz=0の解であって,
z00となることを示せ.

(2) αβのとき,zの方程式αz+βz+1=01の解の実部と虚部をabcdで表せ.

(3) α=βかつ方程式①がある複素数z1を解にもつとする.
このとき,①はz1と異なる解をもつことを示せ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安40

複素数平面方程式・不等式 実部虚部比較、文字消去、存在証明

方針

z=x+iy と置き、αz+βz の実部・虚部を連立一次方程式にする。係数を消去すると分母に D=α2β2 が現れるので、D=0D0 で分ける。(1)では指定された z0 を直接代入して同次方程式の0でない解であることを示し、(3)では同次方程式の非零解を既知の解に加えることで異なる解を作る。

解答

z=x+iy とおく。このとき z=xiy である。計算すると αz+βz=(a+bi)(x+iy)+(c+di)(xiy) であり、実部と虚部はそれぞれ (a+c)x+(db)y,(b+d)x+(ac)y である。したがって同次方程式 αz+βz=0(a+c)x+(db)y=0,(b+d)x+(ac)y=0 と同値である。

(1) α=β より a2+b2=c2+d2 である。

まず α+β0 の場合を考える。このとき α+β=(a+c)+(db)i なので、(a+c,db)(0,0) ではない。指定された z0=(bd)+(a+c)i について、実部を x=bd、虚部を y=a+c とする。すると第1式は (a+c)(bd)+(db)(a+c)=0 となる。第2式は (b+d)(bd)+(ac)(a+c)=b2d2+a2c2=0 である。したがって z0 は同次方程式の解である。また a+cdb が同時に0ではないので、z00 である。

次に α+β=0 の場合を考える。このとき c=a,d=b である。指定された z0=a+bi について x=ay=b とすると、第1式は係数がともに0なので成り立つ。第2式は (2b)(a)+(2a)b=0 である。したがってこの場合も z0 は同次方程式の解である。さらに α0 なので (a,b)(0,0) であり、z00 である。

(2)

方程式 αz+βz+1=0 は、実部と虚部を比較して (a+c)x+(db)y+1=0,(b+d)x+(ac)y=0 となる。αβ なので D=a2+b2c2d20 である。

この連立方程式を解く。第1式、第2式から消去すると x=caD,y=b+dD を得る。したがって解の実部と虚部はRez=caa2+b2c2d2,Imz=b+da2+b2c2d2である。

(3) α=β とする。(1)より、同次方程式 αz+βz=0 は0でない解 z0 をもつ。

いま、方程式(*)が解 z1 をもつとする。すなわち αz1+βz1+1=0 である。このとき z1+z0 を代入するとα(z1+z0)+β(z1+z0)+1={αz1+βz1+1}+{αz0+βz0}=0となる。したがって z1+z0 も(*)の解である。しかも z00 だから z1+z0z1 である。よって(*)は z1 と異なる解をもつ。

別解

解法2

方針

未知数を x,y に分けず、方程式とその共役を2本の連立方程式として扱う。行列式は α2β2 となり、一意解と同次解の存在が同じ構造から見える。

解答

(1) αz+βz=0とその共役βz+αz=0を考える。係数行列の行列式はD=α2β2.α=β では D=0 であり、非零の同次解が存在する。指定された解は、α+β0 ならz0=i(α+β)=(bd)+(a+c)i,α+β=0 ならz0=α=a+bi.いずれも直接代入して0となり、条件から z00 である。

(2)

元の方程式とその共役は{αz+βz=1,βz+αz=1.αβ なら D0 なので、クラメルの公式からz=βαα2β2.α=a+bi, β=c+di を代入するとRez=caa2+b2c2d2,Imz=b+da2+b2c2d2.(3)

α=β とし、非同次方程式の1解を z1、(1)の非零同次解を z0 とする。線形性によりα(z1+z0)+β(z1+z0)+1=0.z00 だから z1+z0z1。よって1解があれば必ず別の解もある。

総評

複素数の方程式を実部・虚部の連立方程式に直す問題で、想定時間は40分程度。α=β のときは一意に解くのではなく、同次方程式に非零解があることを使うのが本質である。(1)は指定された z0 を「明らか」とせず、2本の実方程式に代入して確認する必要がある。(3)は線形性により、既知の解に同次解を足すと別の解が得られる、という構造を明確に書くとよい。

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出典: 北海道大学 1997年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。