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北海道大学 2001年度 前期日程理系数学 第1問

ω=1+3i2とおく。ただし、i は虚数単位である。

(1) 実数 a,b,c,d に対して a+bω=c+dω が成り立つとき、
a=c かつ b=d であることを示せ。

(2) 実数 x,y に対して、実数 s,ts+tω=ω(x+yω)によって定めるとき、(st)=A(xy)となる2次の正方行列 A を求めよ。

(3) n=1,2,3, のとき、上の A に対して(A2+E)3nを求めよ。ただし、E は単位行列である。

難易度5/ 10計算量5/ 10目安15

複素数平面行列 実部虚部比較、式変形、数学的帰納法

方針

(1)1ω の実係数表示の一意性を虚部・実部比較で示す。(2)は ω2=1ω を使って、ω(x+yω)1,ω の係数に戻す。(3)は行列 A を「ω 倍する操作」と見て、A2+E が「ω 倍する操作」であることから冪を求める。直接行列計算でも確認できる。

解答

(1) ω=1+3i2 である。a+bω=c+dω とすると (ac)+(bd)ω=0 である。虚部を比べると (bd)32=0 だから b=d である。これをもとの式に戻すと a=c である。したがって a=c,b=d が示された。

(2) ω は1の3乗根で 1+ω+ω2=0 をみたすので ω2=1ω である。したがってω(x+yω)=xω+yω2=xω+y(1ω)=y+(xy)ω. s+tω=ω(x+yω) であり、(1)より表示は一意であるから s=y,t=xy である。よって(st)=(0111)(xy)となる。したがってA=(0111)である。

(3)

(2) より、行列 Ax+yωω(x+yω) に移す操作を表す。したがって A2ω2 倍する操作を表し、E は1倍する操作を表す。

ゆえに A2+Eω2+1=ω を掛ける操作に対応する。したがって (A2+E)3n(ω)3n=(1)3nω3n=(1)n を掛ける操作に対応する。実数 (1)n を掛ける操作の行列は (1)nE であるから (A2+E)3n=(1)nE である。

別解

解法2(行列の直接計算)

方針

(1) (2)は実部・虚部と係数を比較する。(3)では
A2+E を実際に計算し、その3乗が E になることを利用して
3n 乗をまとめる。

解答

(1) a+bω=(ab2)+32biである。同様に右辺を実部と虚部に分けて虚部を比較すると32b=32dより b=d である。実部を比較すれば a=c も従う。

(2)

ω2+ω+1=0 よりω(x+yω)=xω+yω2=y+(xy)ω.(1)の表示の一意性からs=y,t=xy.したがってA=(0111).(3)

直接計算するとA2=(1110),B:=A2+E=(0111).さらにB2=(1110),B3=E.よって(A2+E)3n=B3n=(B3)n=(1)nE.

総評

難度5、計算量5。複素数の基底表示と行列表示を結びつける問題で、1+ω+ω2=0 を使うと計算が短い。採点上は(1)の一意性を先に示し、(2)で係数比較を正当化することが重要である。(3)は複素数の掛け算として見ると見通しがよいが、行列の直接計算による確認も有効。目安は15分程度。 2つの解法は、答案で採用しやすい標準手順と、構造を見抜いて短く処理する手順を分けて示した。式変形の根拠、等号条件、必要性と十分性を省略せず、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。

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出典: 北海道大学 2001年度 前期 数学 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。