方針
(1) は 1 と ω の実係数表示の一意性を虚部・実部比較で示す。(2)は ω2=−1−ω を使って、ω(x+yω) を 1,ω の係数に戻す。(3)は行列 A を「ω 倍する操作」と見て、A2+E が「−ω 倍する操作」であることから冪を求める。直接行列計算でも確認できる。
解答
(1) ω=2−1+3i である。a+bω=c+dω とすると (a−c)+(b−d)ω=0 である。虚部を比べると (b−d)23=0 だから b=d である。これをもとの式に戻すと a=c である。したがって a=c,b=d が示された。
(2) ω は1の3乗根で 1+ω+ω2=0 をみたすので ω2=−1−ω である。したがってω(x+yω)=xω+yω2=xω+y(−1−ω)=−y+(x−y)ω. s+tω=ω(x+yω) であり、(1)より表示は一意であるから s=−y,t=x−y である。よって(st)=(01−1−1)(xy)となる。したがってA=(01−1−1)である。
(3)
(2) より、行列 A は x+yω を ω(x+yω) に移す操作を表す。したがって A2 は ω2 倍する操作を表し、E は1倍する操作を表す。
ゆえに A2+E は ω2+1=−ω を掛ける操作に対応する。したがって (A2+E)3n は (−ω)3n=(−1)3nω3n=(−1)n を掛ける操作に対応する。実数 (−1)n を掛ける操作の行列は (−1)nE であるから (A2+E)3n=(−1)nE である。
別解
解法2(行列の直接計算)
方針
(1) (2)は実部・虚部と係数を比較する。(3)では
A2+E を実際に計算し、その3乗が −E になることを利用して
3n 乗をまとめる。
解答
(1) a+bω=(a−2b)+23biである。同様に右辺を実部と虚部に分けて虚部を比較すると23b=23dより b=d である。実部を比較すれば a=c も従う。
(2)
ω2+ω+1=0 よりω(x+yω)=xω+yω2=−y+(x−y)ω.(1)の表示の一意性からs=−y,t=x−y.したがってA=(01−1−1).(3)
直接計算するとA2=(−1−110),B:=A2+E=(0−111).さらにB2=(−1−110),B3=−E.よって(A2+E)3n=B3n=(B3)n=(−1)nE.
総評
難度5、計算量5。複素数の基底表示と行列表示を結びつける問題で、1+ω+ω2=0 を使うと計算が短い。採点上は(1)の一意性を先に示し、(2)で係数比較を正当化することが重要である。(3)は複素数の掛け算として見ると見通しがよいが、行列の直接計算による確認も有効。目安は15分程度。 2つの解法は、答案で採用しやすい標準手順と、構造を見抜いて短く処理する手順を分けて示した。式変形の根拠、等号条件、必要性と十分性を省略せず、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
冊子PDFで見る北大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2001年度 前期 数学 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。