方針
まず AX−XA を成分で計算し、非対角成分から z=2(y−x)/3 を得る。(2)は指定された2つの行列の係数 p,q を未知数として、対角成分 x,y から連立方程式で p,q を決める。最後に非対角成分 2p−2q が(1)の z と一致することを確認すればよい。
解答
(1)
成分を計算する。A=(9−2−26),X=(xzzy)であるからAX=(9x−2z−2x+6z9z−2y−2z+6y)でありXA=(9x−2z9z−2y−2x+6z−2z+6y)である。したがってAX−XA=(0−2x+2y−3z2x−2y+3z0)となる。 AX=XA であるから 2x−2y+3z=0 である。よって z=32(y−x) である。
(2)
指定された形で表せるかを調べるためX=p(1224)+q(4−2−21)とおく。右辺を成分で書くと(p+4q2p−2q2p−2q4p+q)である。したがって x=p+4q,y=4p+q となるように p,q を決めればよい。
この連立方程式を解くと p=15−x+4y,q=154x−y である。このとき非対角成分は2p−2q=2(15−x+4y−154x−y)=32(y−x)である。これは(1)で求めた z と一致する。
よってX=p(1224)+q(4−2−21)と表せる。ただし p=15−x+4y,q=154x−y である。
別解
解法2(固有方向による分解)
方針
行列 A が互いに直交する2方向をそれぞれ保つことを確認する。
AX=XA なら X もその2方向を保つので、各方向への射影行列の
1次結合として X を表す。
解答
(1)
成分を比較すると、AX=XA の右上成分から9z−2y=−2x+6z.したがってz=32(y−x).(2)v=(12),w=(2−1)とおくと、v,w は互いに直交しAv=5v,Aw=10wである。AX=XA よりA(Xv)=X(Av)=5Xv.A の固有値5の方向は v の方向だけなので、ある実数
α により Xv=αv と書ける。同様に
Xw=βw と書ける。
一方、vvT=(1224),wwT=(4−2−21).∣v∣2=∣w∣2=5 だからX=5αvvT+5βwwT.よって p=α/5, q=β/5 とおけば、指定された形で表せる。
成分表示ではp=15−x+4y,q=154x−yであり、非対角成分も2p−2q=32(y−x)=zと一致する。
総評
難度5、計算量5。成分計算を正確に進めれば解ける問題で、抽象的な行列論は不要である。(1)では AX−XA の右上成分だけで条件が出るが、左下成分が同じ条件の符号違いになることも確認しておくと安全。(2)は対角成分から p,q を決め、最後に非対角成分が z と合うことを示す流れが自然である。目安は15分程度。 2つの解法は、答案で採用しやすい標準手順と、構造を見抜いて短く処理する手順を分けて示した。式変形の根拠、等号条件、必要性と十分性を省略せず、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2001年度 後期 数学 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。