方針
(1) は、もし なら が逆行列をもち、その累乗 も逆行列をもつため、零行列になることと矛盾する。(2)では2次行列について直接計算できる恒等式 を使う。(1)から なので となる。 は明らかであり、 ならこの式を繰り返して とし、 から を導く。
解答
(1)
もし であると仮定する。このとき行列 は逆行列をもつ。すると も逆行列をもち、その逆行列は である。
しかし問題の仮定では である。零行列 は逆行列をもたないので、これは矛盾である。したがって である。
(2)
まず2次行列の恒等式を直接確認する。 を単位行列とすると、 が成り立つ。実際、であり、だから、差を取るとである。
(1) より であるからを得る。
ここで なら、ただちに である。以下、 とする。
このとき なら仮定 から となって矛盾するので、 である。
(1) から帰納的に が成り立つ。実際、 では明らかであり、 で成り立つなら である。
特に仮定の自然数 について である。 かつ なので、 でなければならない。したがって である。
これを(1)に代入すると である。
【像は一段で零空間へ入る】
別解
解法2
方針
(1) は行列式の積から示す。(2)では、行列式0の非零な2次行列は二つの列が同じ非零列ベクトルの定数倍として表せることを使い、 と因数分解する。すると が直ちに得られる。
解答
(1) したがって(2)
なら明らかである。以下 とする。このとき なら仮定から となって矛盾するので、必ず である。(1)より二つの列は一次従属だから、ある非零列ベクトル と実数 を用いてと書ける。と置くとしたがって帰納的に かつ なので でなければならない。よってである。
総評
難度6、計算量5。目安時間は18〜23分。冪零行列に関する問題だが、使う道具は逆行列と2次行列の直接計算で足りる。(1)では が逆行列をもてば も逆行列をもつ、という矛盾の形を明確にする。(2)では を名前だけで使わず、成分計算で示すと答案として安全である。 の場合と の場合を分けることで、最後の の扱いも明確になる。