方針
(1) は点 に行列を掛け,像の座標が の一次式で表されることを確認する。 の係数ベクトルが零なら1点,零でなければ直線である。(2)は直線 上の点 の像を と書く。異なる2点が異なる2点に移るので 。もし逆行列をもたなければ2つの列ベクトルが従属し,像の直線が原点を通ることになって仮定に反する。
解答
(1)
点 を列ベクトルで表し,行列 を掛けるとである。
ここで の係数ベクトル が なら,像は によらず1点である。そうでないなら,像はと表されるので,1つの直線上を動く。よって像の軌跡は,ある1点またはある1つの直線である。
(2)
直線 上の点を とおく。この点の像はである。異なる2点が異なる2点に移るので,方向ベクトル は零ベクトルではない。
ここで,もし が逆行列をもたないと仮定する。このとき である。 だから,列ベクトル は の実数倍である。すなわち,ある実数 を用いて と書ける。
すると直線 の像は で表される。 とすれば像は原点になるので,この像の直線は原点を通る。これは,像が原点を通らない直線上の異なる2点に移るという仮定に反する。
したがって は逆行列をもつ。
異なる像を含む直線が原点を避けるなら,2列ベクトルは独立である。
別解
解法2
方針
行列を線形写像として扱う。(1)は直線の方向ベクトルの像が零かどうかで点・直線を判定する。(2)は背理法で,特異なら像空間が1次元以下となり,異なる像を含む直線は必ず原点を通ることを使う。
解答
(1) 元の点をと書く。線形性から方向ベクトル が零なら像は1点であり,零でなければ像はその方向をもつ1直線である。
(2) 上の点はと書け,その像はである。異なる2点の像が異なるのでもし が逆行列をもたなければ,像空間の次元は1以下である。上式から像空間は を含むので1次元であり,ある実数 によりと書ける。するとだから, で原点を通る。これは像の2点が原点を通らない直線上にあるという仮定に反する。よって は逆行列をもつ。
総評
難度5,計算量4。行列による一次変換が直線を点または直線に移すことを,成分計算で確認する問題である。(2)では, が「異なる2点に移る」から従う点を明示するのが重要である。逆行列をもたない場合を仮定し,2つの列ベクトルが同じ方向になるため像の直線が原点を通る,という背理法の構造を崩さないこと。計算は軽く,15分程度で確実に得点したい。