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北海道大学 2007年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

実数abcdを定数とする。
行列A=(abcd)
の定める座標平面上の点の移動を考える。

(1) 実数αβγを定数とする。
実数tが動くとき,
(αt+β,t+γ)Aによる移動で移される点の軌跡は,
ある1点か,またはある1つの直線になることを示せ。

(2) 直線x=1上の異なる2点が,
Aによる移動で原点を通らない直線上の異なる2点に移るならば,
Aは逆行列をもつことを示せ。

難易度5/ 10計算量4/ 10目安15

行列図形と方程式 ベクトル成分計算軌跡必要十分条件

方針

(1) は点 (αt+β,t+γ) に行列を掛け,像の座標が t の一次式で表されることを確認する。t の係数ベクトルが零なら1点,零でなければ直線である。(2)は直線 x=1 上の点 (1,t) の像を (a,c)+t(b,d) と書く。異なる2点が異なる2点に移るので (b,d)(0,0)。もし逆行列をもたなければ2つの列ベクトルが従属し,像の直線が原点を通ることになって仮定に反する。

解答

(1)
(αt+β,t+γ) を列ベクトルで表し,行列 A を掛けると(abcd)(αt+βt+γ)=((aα+b)t+aβ+bγ(cα+d)t+cβ+dγ)である。
ここで t の係数ベクトル (aα+b, cα+d)(0,0) なら,像は t によらず1点である。そうでないなら,像は(aβ+bγcβ+dγ)+t(aα+bcα+d)と表されるので,1つの直線上を動く。よって像の軌跡は,ある1点またはある1つの直線である。
(2)
直線 x=1 上の点を (1,t) とおく。この点の像はA(1t)=(a+btc+dt)=(ac)+t(bd)である。異なる2点が異なる2点に移るので,方向ベクトル (b,d) は零ベクトルではない。
ここで,もし A が逆行列をもたないと仮定する。このとき adbc=0 である。(b,d)(0,0) だから,列ベクトル (a,c)(b,d) の実数倍である。すなわち,ある実数 λ を用いて (a,c)=λ(b,d) と書ける。
すると直線 x=1 の像は (a,c)+t(b,d)=(λ+t)(b,d) で表される。t=λ とすれば像は原点になるので,この像の直線は原点を通る。これは,像が原点を通らない直線上の異なる2点に移るという仮定に反する。
したがって A は逆行列をもつ。

異なる像を含む直線が原点を避けるなら,2列ベクトルは独立である。

別解

解法2

方針

行列を線形写像として扱う。(1)は直線の方向ベクトルの像が零かどうかで点・直線を判定する。(2)は背理法で,特異なら像空間が1次元以下となり,異なる像を含む直線は必ず原点を通ることを使う。

解答

(1) 元の点をp(t)=(βγ)+t(α1)と書く。線形性からAp(t)=A(βγ)+tA(α1).方向ベクトル A(α,1)T が零なら像は1点であり,零でなければ像はその方向をもつ1直線である。
(2) x=1 上の点はe1+te2と書け,その像はAe1+tAe2である。異なる2点の像が異なるのでAe20.もし A が逆行列をもたなければ,像空間の次元は1以下である。上式から像空間は Ae2 を含むので1次元であり,ある実数 λ によりAe1=λAe2と書ける。するとAe1+tAe2=(λ+t)Ae2だから,t=λ で原点を通る。これは像の2点が原点を通らない直線上にあるという仮定に反する。よって A は逆行列をもつ。

総評

難度5,計算量4。行列による一次変換が直線を点または直線に移すことを,成分計算で確認する問題である。(2)では,(b,d)(0,0) が「異なる2点に移る」から従う点を明示するのが重要である。逆行列をもたない場合を仮定し,2つの列ベクトルが同じ方向になるため像の直線が原点を通る,という背理法の構造を崩さないこと。計算は軽く,15分程度で確実に得点したい。

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出典: 北海道大学 2007年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。