方針
まず XA−AX を成分計算し、x,y,z に関する3本の一次方程式にする。(1) では k=0 としてその解空間を調べ、bc=0 を使って x,y,z が同じ実数倍でそろうことを示す。
(2) では3本の式をうまく足し合わせて k(a2+bc)=0 を導き、k=0 から a2+bc=0、すなわち A2=O を得る。逆向きでは A2=O を仮定し、指定された z=c から x,y を順に決めて、残りの式も満たすことを確認する。
解答
(1)
成分を計算すると、XA−AX=(−bz+cy2az−2cx−2ay+2bxbz−cy).したがって XA−AX=kA は⎩⎨⎧−bz+cy=ka,−2ay+2bx=kb,2az−2cx=kc(*)と同値である。
k=0 とする。第1式から cy=bz である。bc=0 なので y=tb とおけば z=tc となる。第2式から bx=ay=atb なので x=ta である。よってX=tAであり、条件を満たす X は A の実数倍である。
(2)
まず k=0 で解 X が存在すると仮定する。式 (∗) の第1式に a、第2式に c/2、第3式に b/2 を掛けて加える。左辺は相殺され、右辺はka2+2ckb+2bkc=k(a2+bc)となる。したがって k(a2+bc)=0 であり、k=0 よりa2+bc=0.一方、A2=(a2+bc00a2+bc)だから、これは A2=O と同値である。
逆に A2=O、すなわち a2+bc=0 とする。bc=0 から a=0 である。z=c と指定し、第3式へ代入するとx=a−2k.これを第2式へ代入してy=ab(a−k)=ca(k−a)を得る。よってX=a−2kcca(k−a)−a+2k.a2+bc=0 を用いて第1式も満たすことを確認できる。したがって A2=O は必要十分条件であり、上の X が指定された解である。
総評
成分計算から必要十分条件を引き出す重めの行列問題で、目安時間は25分程度。最初に XA−AX を正確に出せるかが大前提で、(2) では3本の式をそのまま解こうとせず、係数を掛けて足し a2+bc を作るのが核心である。逆向きでは条件を示すだけでなく、実際に X を構成し、指定された z=c を満たすことまで書く必要がある。
冊子PDFで見る北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。