方針
不等式を cx2≧1−cos2x と見て、x=0 では c≧(1−cos2x)/x2 に直す。恒等式 1−cos2x=2sin2x と ∣sinx∣≦∣x∣ から上限 2 を得る。一方で x→0 の極限が 2 になるので、c<2 は近くの点で破れる。
解答
まず x=0 では cos0+c⋅02=1 であり、どの c でも等号が成り立つ。したがって x=0 を考える。
条件は cos2x+cx2≧1 すなわち c≧x21−cos2x である。ここで 1−cos2x=2sin2x だから x21−cos2x=2(xsinx)2 である。∣sinx∣≦∣x∣ より 2(xsinx)2≦2 であるから、c≧2 ならすべての実数 x について不等式は成り立つ。
逆に c<2 とする。高校数学の基本極限 x→0limxsinx=1 よりx→0limx21−cos2x=x→0lim2(xsinx)2=2である。したがって、0 に十分近い x=0 で x21−cos2x>c となるものが存在し、このとき不等式は成り立たない。
以上より求める範囲は c≧2 である。
別解
解法2(極小条件から必要性を出す)
方針
左辺から右辺を引いた関数を考える。全実数で非負なら
x=0 が極小点なので、2階導関数から必要条件を得る。
十分性は基本不等式 ∣sinx∣≦∣x∣ で示す。
解答
F(x)=cos2x+cx2−1とおく。条件が成り立つなら F(x)≧0 かつ F(0)=0 なので、
x=0 は F の極小点である。したがって必要条件としてF′′(0)≧0を得る。一方、F′′(x)=−4cos2x+2cだから−4+2c≧0,c≧2が必要である。
逆に c≧2 とする。恒等式と
∣sinx∣≦∣x∣ によりF(x)=cx2−{1−cos2x}=cx2−2sin2x≧2x2−2sin2x≧0.よって条件はすべての実数 x で成り立つ。以上からc≧2である。
総評
難度5、計算量3。最大値を探す問題に見えるが、1−cos2x=2sin2x に直すと上からの評価はすぐ出る。十分性だけで終わらず、x→0 によって 2 より小さい c が不可能であることを示すのが採点上の核心である。目安は10分程度。近似展開に頼らず、基本極限で書くと答案が安定する。 2つの解法は、答案で採用しやすい標準手順と、構造を見抜いて短く処理する手順を分けて示した。式変形の根拠、等号条件、必要性と十分性を省略せず、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
冊子PDFで見る北大の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2001年度 前期 数学 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。