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北海道大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

Pは数直線上を原点Oを出発点として,
確率がそれぞれ12で正の向きに1進み,または負の向きに1進むとする.
n回移動したときのPの座標をX(n)で表す.

(1) X(8)=2となる確率を求めよ.

(2) X(7)の期待値を求めよ.

(3) Pが6回目の移動が終わった時点で,
一度もOに戻っていない確率を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

確率 数え上げ、期待値、場合分け

方針

各移動を +1 または 1 の列として数える。n 回後の座標は正方向の回数を r とすると 2rn である。(2)は7回後の座標が奇数だけになることと左右対称性を使い、正の座標だけを2倍して期待値を計算する。(3)は「6回目に原点でない」ではなく「途中で一度も原点に戻らない」条件である。最初の1歩の向きで分け、正側に出た場合の正のまま進む経路を数え、負側は対称性で同数とする。

解答

(1)

8回のうち正の向きに進む回数を r とする。このとき負の向きに進む回数は 8r であり、X(8)=r(8r)=2r8 である。X(8)=2 となるには 2r8=2 すなわち r=5 であればよい。

したがって、8回のうち正方向への移動を5回選ぶので P(X(8)=2)=8C528=56256=732 である。

(2)

7回後の座標は 7,5,3,1,1,3,5,7 のいずれかである。正方向の回数を r とすると X(7)=2r7 である。

左右対称性を用いて、正の座標だけを数えて2倍する。正の座標 1,3,5,7 に対応する正方向の回数はそれぞれ r=4,5,6,7 である。したがってE(X(7))=227(17C4+37C5+57C6+77C7)=2128(35+63+35+7)=280128=3516.(3)

6回の移動が終わるまで一度も O に戻らない経路を数える。全経路は 26=64 通りである。

まず第1歩が正の向きである場合を考える。この場合、各時点の座標が常に正であればよい。6歩後の座標は正の偶数なので、可能な終点は 2,4,6 である。

6歩で終点が2となる経路は、正方向4回、負方向2回である。このうち途中で0に戻らず常に正であるものは、投票型の数え上げにより 266C4=5 通りである。同様に終点が4のものは 466C5=4 通り、終点が6のものは 6C6=1 通りである。したがって、第1歩が正の向きの場合は 5+4+1=10 通りである。

第1歩が負の向きの場合も、符号をすべて反対にする対応により同じく10通りである。よって条件を満たす経路は 20 通りであり、求める確率は 2064=516 である。

原点へ戻らない経路

別解

解法2

方針

(1) ,(2)は二項分布をそのまま用いる。(3)は投票公式を使わず、第1歩を正に固定した後の「正の位置にとどまる経路数」を時刻ごとの表で更新する。負側は符号反転で同数になる。

解答

(1)
正方向への移動回数を R とするとRBin(8,12),X(8)=2R8.したがってPr(X(8)=2)=Pr(R=5)=8C528=732.(2)
左右対称性よりE(X(7))=227r=47(2r7)7Cr=2128(35+63+35+7)=3516.(3)
第1歩を正に固定する。原点へ戻らない経路数を、各時刻の正の位置ごとに更新すると時刻\multicolumn3c正の位置ごとの経路数112131142152316541となる。第1歩が正の経路は 5+4+1=10 通りである。負側も10通りだから2026=516である。

総評

難度5、計算量5。目安時間は16〜21分。ランダムウォークの標準的な数え上げだが、(3)の条件を読み違えやすい。「6回後に O でない」ではなく、1回目から6回目まで一度も O に戻らないことを数える。期待値は分布を全部書いてもよいが、左右対称性で正の座標だけを2倍すると整理しやすい。経路数では、正方向の回数と座標 2rn の対応を常に確認するのがミス防止になる。

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出典: 北海道大学 2003年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。