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北海道大学 2004年度 前期日程理系数学 第5問

ある人がサイコロを振る試行によって,部屋ABを移動する.
サイコロの目の数が1,3のときに限り部屋を移る.
また各試行の結果,部屋Aに居る場合はその人の持ち点に1点を加え,
部屋Bに居る場合は1点を減らす.
持ち点は負になることもあるとする.
n試行の結果,部屋ABに居る確率をそれぞれPA(n)PB(n)と表す.
最初にその人は部屋Aに居るものとし(つまり,PA(0)=1PB(0)=0とする),
持ち点は1とする.

(1) PA(1)PA(2)PA(3)およびPB(1)PB(2)PB(3)を求めよ.
また,第3試行の結果,その人が得る持ち点の期待値E(3)を求めよ.

(2) PA(n+1)PB(n+1)PA(n)PB(n)を用いて表せ.

(3) PA(n)PB(n)nを用いて表せ.

(4)n試行の結果,その人が得る持ち点の期待値E(n)を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安18

確率 状態分類確率漸化式、期待値

方針

文系第4問と同じ2状態の移動で、移動確率は 1/3、滞在確率は 2/3 である。確率の漸化式は PA+PBPAPB に分けると一般項がすぐ出る。
期待値は、初期持ち点 1 に、各試行後の得点増分の期待値 PA(k)PB(k) を足す。(4) はその等比級数を n まで和にする。

解答

(1)
サイコロの目が 1,3 のときだけ部屋を移るから、1回の試行で部屋を移る確率は 13 であり、移らない確率は 23 である。初めは部屋 A にいるので、PA(1)=23,PB(1)=13 である。

2回目についてはPA(2)=23PA(1)+13PB(1)=2323+1313=59であり、PB(2)=49 である。さらに PA(3)=2359+1349=1427 であり、PB(3)=1327 である。

k 試行後の得点増分は、部屋 A にいれば +1、部屋 B にいれば 1 である。したがって、その期待値は PA(k)PB(k) である。初期持ち点は 1 なので、E(3)=1+(2313)+(5949)+(14271327)=1+13+19+127=4027.(2)
n+1 試行後に部屋 A にいるのは、第 n 試行後に A にいて移らない場合と、第 n 試行後に B にいて移る場合である。したがって PA(n+1)=23PA(n)+13PB(n) である。同様に PB(n+1)=13PA(n)+23PB(n) である。

(3)
(2) の2式を引くと PA(n+1)PB(n+1)=13{PA(n)PB(n)} である。PA(0)PB(0)=1 だから PA(n)PB(n)=(13)n である。また PA(n)+PB(n)=1 なので、PA(n)=12(1+13n),PB(n)=12(113n)である。

(4)
k 試行後の得点増分の期待値は PA(k)PB(k)=13k である。初期持ち点は 1 なので、E(n)=1+k=1n13k=1+13(113n)113=1+12(113n)=32123n.

別解

解法2

方針

移動回数の偶奇で部屋を判定し、二項展開から確率差を直接求める。確率の漸化式を併記し、期待値は各回の期待増分を有限等比和として足す。

解答

(1)
移動確率は 13 である。移動回数の偶奇を使うとPA(n)+PB(n)=1,PA(n)PB(n)=(2313)n=13n.したがってn123PA(n)23591427PB(n)13491327であり、E(3)=1+13+19+127=4027.(2)
1回先の部屋について場合分けすると、PA(n+1)=23PA(n)+13PB(n),PB(n+1)=13PA(n)+23PB(n).(3)
和と差からPA(n)=12(1+13n),PB(n)=12(113n)である。

(4)
k 回の期待増分は 3k だから、E(n)=1+k=1n13k=32123n.

総評

文系第4問に期待値の一般式が加わった問題で、目安時間は18分程度。確率漸化式は2本あるが、和と差に分けると実質的には等比数列になる。期待値では初期持ち点 1 と、第1試行から第 n 試行までの増分を足すため、和の始まりを k=1 にする。移動回数の偶奇による別解も、差 PAPB の意味を明確にしてくれる。

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出典: 北海道大学 2004年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。