方針
写像 w=(z+1+i)/2 は,複素数平面上で中心を (1+i)/2 だけずらしながら倍率 1/2 に縮小する相似変換である。したがって円は円に移り,中心と半径は αn+1=(αn+1+i)/2,rn+1=rn/2 を満たす。中心は固定点 1+i へ近づく等比型として解く。(2) は原点が円の内部または周上にあるかを比べ,dn=max{0,∣αn∣−rn} とする。
解答
(1)
条件(B)より w=2z+1+i である。この対応は,すべての点を倍率 1/2 で縮小し,さらに平行移動する相似変換である。したがって円は円に移る。 Cn の中心を表す複素数を αn,半径を rn とする。z が中心 αn,半径 rn の円上を動くとき,w の中心と半径は αn+1=2αn+1+i,rn+1=2rn である。初期条件は α1=0,r1=2 である。
まず半径は rn=2n−12 である。中心については,固定点 1+i を用いて αn+1−(1+i)=21{αn−(1+i)} と書ける。よってαn−(1+i)=(21)n−1(α1−(1+i))=−2n−11+iである。したがって αn=(1+i)(1−2n−11) である。
(2)
中心が αn,半径が rn の円上の点と原点との距離の最小値は,原点が円の内部または周上にあるとき 0,外部にあるとき ∣αn∣−rn である。したがって dn=max{0,∣αn∣−rn} である。
ここで∣αn∣=2(1−2n−11),rn=2n−12である。n=1 では明らかに原点は円の中心であり,d1=0 である。n=2 では ∣α2∣=22<1=r2 なので d2=0 である。 n≧3 では∣αn∣−rn=2(1−2n−11)−2n−12>0であるから,dn=2(1−2n−11)−2n−12(n≧3)となる。よってd1=d2=0,dn=2(1−2n−11)−2n−12(n≧3)である。 n→∞ とすると 2−(n−1)→0 なので n→∞limdn=2 である。
別解
別解(相似変換を直接反復する)
方針
写像 T(z)=(z+1+i)/2 の固定点を求め,Tn−1 を直接計算する。円全体への作用が一式で分かる。
解答
(1)
写像T(z)=2z+1+iの固定点は 1+i である。したがってT(z)−(1+i)=21{z−(1+i)}であり,反復するとTn−1(z)=(1+i)+2n−1z−(1+i).(1)C1 上では ∣z∣=2 である。(1) は中心をαn=(1+i)(1−2n−11)へ移し,中心からのベクトルを 2−(n−1) 倍する。よって Cn は円であり,αn=(1+i)(1−2n−11),rn=2n−12.(2)
原点から中心までの距離は∣αn∣=2(1−2n−11).円が原点を含む場合の最小距離は0,含まない場合は中心距離から半径を引いた値なのでdn=max{0,2(1−2n−11)−2n−12}.括弧内は n=1,2 で負,n≧3 で正である。したがってd1=d2=0,dn=2(1−2n−11)−2n−12(n≧3).ゆえにn→∞limdn=2.
総評
複素数平面の相似変換と等比数列を合わせる問題。目安時間は16分。円の全点を直接追うのではなく,中心と半径だけを更新するのが核心である。中心の漸化式は固定点 1+i との差を取るとすぐ解ける。(2) では原点から円までの最短距離が常に ∣αn∣−rn とは限らず,原点が円の内部にある n=1,2 では 0 になる点に注意する。 漸化式と相似変換の反復で中心・半径・極限が一致した。 漸化式と相似変換の反復で中心・半径・極限が一致した。 漸化式と相似変換の反復で中心・半径・極限が一致した。
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出典: 北海道大学 2023年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。