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熊本大学 2026年度 前期数学① 第1問

時刻 0 秒のときコマが座標平面上の点 (0,2) 上にあり,その後 1 秒ごとにコマは次の規則に従って座標平面上を移動する。

・コマが点 (x,y)0x<2 かつ 0<y2)の上にあるとき,23 の確率で点 (x+1,y) に移動し,13 の確率で点 (x,y1) に移動する。

・コマが点 (2,y)0<y2)の上にあるとき,必ず点 (2,y1) に移動する。

・コマが点 (x,0)0x<2)の上にあるとき,必ず点 (x+1,0) に移動する。

こうして,4 秒後にコマは点 (2,0) に到達する。時刻 i 秒(i0i4 を満たす整数)におけるコマの位置を表す点を Pi とし,線分 PiPi+10i3)を結んでできる折れ線と x 軸および y 軸で囲まれる部分の面積を S とする。以下の問いに答えよ。

(問1) S=0 となる確率を求めよ。

(問2) S=2 となる確率を求めよ。

(問3) S の期待値を求めよ。

難易度5/ 10計算量5/ 10目安15

確率場合の数図形と方程式 状態分類数え上げ、期待値、面積計算

方針

4回の移動は右向きの移動を2回,下向きの移動を2回含む単調な経路に限られる。6通りの経路について,境界に達する前の確率を掛け合わせ,折れ線と座標軸で囲まれる面積を表にして求める。期待値は各面積にその確率を掛けて和をとる。

解答

(問1)
右への移動を R,下への移動を D と書く。可能な経路と確率,面積 S は次の通りである。経路確率SRRDD(23)2=494RDRD231323=4273RDDR231313=2272DRRD132323=4272DRDR132313=2271DDRR(13)2=190したがって S=0 となるのは経路 DDRR のときだけであるから,求める確率は19である。

(問2)
S=2 となるのは経路 RDDRDRRD のときである。よって求める確率は227+427=29である。

(問3)
上の表より,期待値は449+3427+2(227+427)+1227=7427である。

なお,表の確率の和は49+427+227+427+227+19=1となり,全経路を尽くしていることも確認できる。

別解

解法2(面積の確率母関数)

方針

状態 x,y から終点までに加わる面積の確率母関数を Fx,y(t) とする。高さ y で右へ1進むと面積が y 増えるので,遷移式を下から計算すれば,経路を個別に並べずに面積の分布全体が得られる。

解答

高さ y で右へ移る1歩が面積に y を加えることに注意する。状態 (x,y) から終点までに加わる面積を T とし,Fx,y(t)=sPr(T=s)tsとおく。境界ではF2,y(t)=F2,y1(t),Fx,0(t)=Fx+1,0(t)であり,内部ではFx,y(t)=23tyFx+1,y(t)+13Fx,y1(t)である。終点で F2,0=1 として順に計算するとF1,1(t)=23t+13,F1,2(t)=23t2+29t+19,F0,1(t)=49t2+29t+13,したがってF0,2(t)=49t4+427t3+29t2+227t+19.よって係数を読めば(1) Pr(S=0)=19,(2) Pr(S=2)=29.また微分して t=1 を代入すれば(3)E[S]=F0,2(1)=449+3427+229+227=7427を得る。

総評

難度5,計算量5,想定時間15分。公式の出題意図どおり,独立な移動の乗法,排反な経路の加法,期待値を一続きに扱う問題である。解法1では6経路の確率和が1になること,解法2では母関数の係数和が F0,2(1)=1 になることが相互検算になる。面積は各右移動の高さの和と見れば数え落としを防げる。公式略解の 1/9,2/9,74/27 と照合済み。

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出典: 熊本大学 令和8年度一般選抜(前期日程)数学1(公式問題・略解・出題意図)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。