Evolton

京都大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

A君がおみくじを引く.
N回引いても「大吉」が出なければ打ち切ってやめる.
もしN回までに大吉が出ればその回でやめることにした.
ただし,Nは2以上の定まった自然数とする.

A君が1回ごとに大吉を引く確率をpとする.
このときA君がおみくじを引くのをやめるまでの回数の期待値(平均ともいう)E
E=1(1p)Npと表わされることを示し,
p=15N=10のときのEの値を小数第2位まで求めよ.

難易度4/ 10計算量3/ 10目安11

確率 期待値、和の計算、計算整理

方針

やめるまでの回数を直接分布で足してもよいが、より短くするには「j 回目を実際に引く確率」を足す。(j) 回目を引く条件は、最初の j1 回で大吉が出ていないことなので、期待値は等比数列の和になる。数値計算では最後に小数第2位まで丸める。

解答

やめるまでに引く回数を T とする。j 回目のおみくじを実際に引くためには、最初の j1 回で大吉が出ていないことが必要十分である。したがって Pr(Tj)=(1p)j1(1jN) である。

回数 T は、実際に引いた各回を1ずつ数えたものだから、期待値はE=j=1NPr(Tj)で求められる。よってE=j=1N(1p)j1=1(1p)N1(1p)=1(1p)Npである。 p=15, N=10 のときE=1(4/5)101/5=5{1(45)10}である。数値を計算すると (45)10=0.1073741824 であるから E=5(10.1073741824)=4.463129088 となる。したがって小数第2位までで E=4.46 である。
\newpage

別解

解法2(停止回数の分布を直接足す)

方針

T をやめる回数とし、1j<Nj=N を分けて確率分布を書く。
最後の打ち切りを含めた期待値を有限等比和の微分公式で整理する。

解答

q=1p と置く。1jN1 ではPr(T=j)=qj1p.N 回目は、その回に大吉が出る場合と最後まで出ない場合を合わせてPr(T=N)=qN1p+qN=qN1.したがってE=pj=1N1jqj1+NqN1.有限等比和を q で微分するとj=1N1jqj1=1NqN1+(N1)qN(1q)2.p=1q を代入して整理すればE=1qN1q=1(1p)Np.p=1/5,N=10 ではE=5{1(45)10}=4.463129088,よって小数第2位までで 4.46 である。

総評

打ち切り付き反復試行の期待値問題。目安時間は11分。分布を直接書く方法もあるが、E=Pr(Tj)と見ると計算が短く、最後の N 回で打ち切る処理も自然に含まれる。数値は (4/5)10 まで丁寧に計算し、丸めの位置を明確にする。
\newpage

冊子PDFで見る京大の確率の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1981年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。