方針
3次式を平行移動して、2次の項がない形 f(x)=Au3+pu+q に直す。ここで u=x−h とすれば、導関数は 3Au2+p であり、割り算の余りを直接計算できる。余りが定数であるためには u の係数が消える必要があり、p=0 が従う。すると f(x)=A(x−h)3+q となり、3乗関数の平行移動なので実数解はただ1つである。
解答
f(x) は3次式であるから、適当な実数 h、p、q と A=0 を用いて f(x)=A(x−h)3+p(x−h)+q と書ける。これは、3次式を平行移動して2次の項を消した形である。 u=x−h とおくと f(x)=Au3+pu+q であり、f′(x)=3Au2+p である。f(x) を f′(x) で割ることは、Au3+pu+q を 3Au2+p で割ることと同じである。
実際に割ると、まず商の一部は u/3 であり、3u(3Au2+p)=Au3+3pu である。したがって余りは (Au3+pu+q)−(Au3+3pu)=32pu+q である。
問題の条件より、この余りは定数である。したがって u の係数は 0 でなければならないから 32p=0 すなわち p=0 である。よって f(x)=A(x−h)3+q の形である。
方程式 f(x)=0 は A(x−h)3+q=0 すなわち (x−h)3=−Aq である。実数 r に対して z3=r を満たす実数 z はただ1つであるから、x−h もただ1つに決まる。したがって f(x)=0 を満たす実数 x はただ1つである。
別解。f(x)=Ax3+Bx2+Cx+D とおいて直接割り算をしてもよい。このとき f′(x)=3Ax2+2Bx+C であり、余りの x の係数は 9A6AC−2B2 となる。余りが定数であることから B2=3AC となり、f′(x)=3A(x+3AB)2 である。これを積分しても f(x)=A(x−h)3+q の形が得られる。
総評
割り算の余り条件を、3次式の形の制限へ変える証明問題で、18分程度が目安である。一般形で割っても解けるが、平行移動して2次の項を消すと計算がかなり軽くなる。余りが定数という条件は、余りの中の u の係数が 0 であることを意味する。最後は A(x−h)3+q が単調な3乗関数の平行移動であること、または3乗方程式が実数解をただ1つ持つことを明記すればよい。
冊子PDFで見る京大の微分の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 1989年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。