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京都大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第2問

abcdを整数とし,行列A=(abcd)を考える。
(a0b0c0d0)=(1001)とし,
自然数nに対してAn=(anbncndn)とする。このとき,

(1) n0について,cn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0を示せ。

(2) pを素数とし,a+dpで割り切れないものとする。
ある自然数kについて,ckck+1pで割り切れるならば,
すべてのnについてcnpで割り切れることを示せ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安18

数と式数列整数論証・証明 漸化式の変形、合同式、場合分け

方針

(1) は行列の恒等式から左下成分の漸化式を得る。(2)では D=adbc が法 p で0か否かに分ける。D≢0 なら逆向きにたどり、D0 なら cn+1(a+d)cn と trace の非零性を使って c1 まで戻す。

解答

(1) 単位行列を I とする。成分を計算するとA2(a+d)A+(adbc)I=Oである。これに An を掛け、左下成分を比較すれば、n0 についてcn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0を得る。

(2) T=a+d,D=adbc とおき、法 p で考える。仮定は T≢0 である。

まず D≢0 の場合、漸化式を Dcn=Tcn+1cn+2 と書ける。ckck+10 から前向きに cn0 (nk) を得る。また D≢0 なので逆向きにも ck1,ck2, が順に0となる。

次に D0 の場合、漸化式は cn+2Tcn+1 となる。したがって n1cnTn1c1 である。T≢0 であり ck0 だから c10 となり、すべての n1cn0 である。また c0=0 である。

いずれの場合も、すべての n0 について cnp で割り切れる。

別解

解法2

方針

p の行列として、行列式が0か否かで分ける。可逆な場合は上三角行列の逆を使い、行列式0の場合は A2(a+d)A から全べきの形を直接求める。

解答

(1) A2(a+d)A+(adbc)E=Oを直接確認し、両辺に An を掛けて左下成分を比較すればcn+2(a+d)cn+1+(adbc)cn=0(n0)を得る。

(2)
T=a+d, D=adbc とし、法 p で考える。

D≢0 のとき A は可逆である。ckck+10 だから Ak,Ak+1 は上三角行列であり、A=Ak+1(Ak)1も上三角行列となる。よってすべての An の左下成分は0である。

D0 のとき、(1)の行列恒等式はA2TAとなる。帰納的にAnTn1A(n1)であり、cnTn1c1.仮定より T≢0 なので、k1 なら
ck0 から c10 を得る。k=0 なら仮定に
c10 が含まれる。したがってこの場合もすべての cn が0である。

以上より、すべての n0 について pcn である。

総評

文系版より仮定が繊細な論証問題で、目安は18分。行列式が法 p で0の場合には逆向きに割れないため、その場合を分けて trace の非零性を使うことが決定的である。

行列式が0の場合と非0の場合を必ず分ける。特に行列式0ではトレースが法 p で非零という仮定が決定的である。

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出典: 京都大学 1994年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。