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京都大学 1998年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

2次の正方行列XYXY=YXのとき交換可能であるという.
2次の正方行列ABは交換可能ではないが,AABは交換可能でありABAも交換可能であるとする.
このとき,

(1) A=(abcd)とするとき,adbc=0を示せ.

(2) Oを零行列とするとき,A2=Oであることを示せ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安25

行列論証・証明 背理法、式変形

方針

C=ABBAとおくとCOである。2つの交換条件からAC=CA=Oを得る。(1) はAが可逆だと矛盾することを使う。(2) は2次行列の恒等式A2(trA)A+(detA)E=Oを用い、trA0も矛盾することを示す。

解答

(1) C=ABBAとおく。A,Bは交換可能でないからCOである。一方、AABが交換可能であることからA(AB)=(AB)A,A2B=ABA,従ってAC=A(ABBA)=O.同様に、ABAが交換可能であることからA(BA)=(BA)A,ABA=BA2,従ってCA=(ABBA)A=O.もしdetA=adbc0ならばAは逆行列を持つ。AC=Oの左からA1を掛けるとC=Oとなり、矛盾する。よってadbc=0.(2)
2次行列について直接成分計算すればA2(a+d)A+(adbc)E=Oが成り立つ。(1)よりdetA=adbc=0だからA2=(a+d)A.t=a+dとおく。t0と仮定し、P=1tAとおけばP2=Pである。またAC=CA=OよりPC=CP=Oである。

一方、C=ABBA=t(PBBP)だからO=PC=t(PBPBP),O=CP=t(PBPBP).t0よりPB=PBP=BPとなり、C=t(PBBP)=Oとなる。これはCOに矛盾する。従ってt=0であり、A2=tA=O.

別解

解法2

方針

2つの交換条件をつないで A2B=BA2 を得る。(1)は A が可逆なら直ちに矛盾すること、(2)は2次行列の恒等式 A2(trA)A=O を代入するだけで結論を出す。

解答

(1)
AAB が交換可能なのでA2B=ABA.もし detA0 なら左から A1 を掛けてAB=BAとなり、仮定に反する。従ってdetA=adbc=0.(2)
ABA が交換可能なのでABA=BA2.上の式と合わせてA2B=BA2.2次行列では成分を直接展開することでA2(a+d)A+(adbc)E=Oが成り立つ。(1)よりA2=(a+d)A.これを A2B=BA2 へ代入すると(a+d)AB=(a+d)BA.ABBA だから a+d=0 でなければならない。従ってA2=(a+d)A=O.

総評

難度7、計算量5。2つの交換条件を別々に使ってAC=CA=Oを得ることが核である。2次行列の恒等式も成分計算で確認でき、固有値など大学範囲の道具は用いていない。

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出典: 京都大学 1998年度 後期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。