方針
(1) は t=x と置き、t≧0 の2次方程式が解をもつ条件へ直す。判別式だけでなく、得られる実数解が非負であることも確認する。(2)は方程式を 4x2−(a−2)2x+(a−1)2=0 に整理し、判別式の符号で実数解の場合と共役な虚数解の場合に分ける。実数解の場合は大きい方の絶対値が少なくとも解の平均以上、虚数解の場合は絶対値が積の平方根に等しいことを使い、共通の境界 a=4−22 で最小になることを示す。
解答
(1) t=x(t≧0) とおく。すると共有点をもつ条件は t=a2t2+1−a1 を満たす t≧0 が存在することである。両辺に a をかけて整理すると 2t2−at+a−1=0 である。
この2次方程式の判別式は D1=a2−8(a−1)=a2−8a+8 である。0<a≦2 の範囲で a2−8a+8≧0 となるのは 0<a≦4−22 である。
この範囲では、方程式の解が t≧0 に存在することも確認しておく。解の和は a/2>0 である。0<a<1 なら解の積 (a−1)/2<0 なので正の解を1つもつ。1≦a≦4−22 なら解の積は非負で、解の和は正であるから、実数解はともに非負である。したがって求める範囲は 0<a≦4−22 である。
(2)
与えられた方程式を展開する。 (2x+a−1)2=a2x より 4x2+4(a−1)x+(a−1)2−a2x=0 である。4(a−1)−a2=−(a−2)2 だから 4x2−(a−2)2x+(a−1)2=0 となる。この方程式の判別式は D2=(a−2)4−16(a−1)2=a2(a2−8a+8) である。 a0=4−22 とおく。0<a≦a0 では D2≧0 であり、2解は実数である。このとき2解の和は α+β=4(a−2)2 で、積は αβ=4(a−1)2≧0 であるから、2解はともに非負である。∣α∣≦∣β∣ なので ∣β∣ は大きい方の解であり、少なくとも2解の平均以上である。よって ∣β∣≧2α+β=8(a−2)2 である。0<a≦a0<2 だから (2−a)2≧(2−a0)2 であり、したがって∣β∣≧8(2−a0)2=8(22−2)2=23−22である。
一方、a0<a≦2 では D2<0 であり、2解は共役な虚数である。したがって2解の絶対値は等しく、積の絶対値から ∣α∣=∣β∣=4(a−1)2=2∣a−1∣ である。ここで a0=4−22>1 なので、この範囲では ∣β∣=2a−1>2a0−1=23−22 である。
最後に a=a0 のときは判別式が0で、2解は重解である。このとき ∣β∣=8(a0−2)2=23−22 となる。よって ∣β∣ の最小値は 23−22 である。
別解
解法2(解の公式と接する境界)
方針
(1) では t=x により接する境界を直接求める。
(2)では二次方程式の解を平方根を含む形で書き、実根域と共役複素根域を
境界 a=4−22 でつなぐ。各域で絶対値が単調であることを確認する。
解答
(1) t=x≧0 とおくと、共有点条件は2t2−at+a−1=0である。t の二次方程式が実数解をもつ条件はa2−8a+8≧0.0<a≦2 より0<a≦a0,a0=4−22.この範囲では解の和が正であり、積の符号も確認すれば少なくとも1つ
非負の解をもつ。従ってこれが必要十分条件である。
(2)
方程式は4x2−(a−2)2x+(a−1)2=0となり、その解はx=8(a−2)2±aa2−8a+8.0<a≦a0 では2解は非負の実数で、大きい解はR(a)=8(a−2)2+aa2−8a+8≧8(a−2)2.a≦a0<2 より右辺は a=a0 で最小となる。
a0<a≦2 では2解は共役で、積から両者の絶対値は2a−1である。これは a とともに増加する。従って両領域を通じた最小値は
判別式が0となる a=a0 で実現し、min∣β∣=2a0−1=23−22.重解なので α,β のどちらを大きい絶対値として選んでも同じである。
総評
難度は10段階中7、計算量は10段階中6。目安は25分。第1問の判別式境界 4−22 が第2問の判別式境界にも現れることを見抜くと整理しやすい。第2問で無理に大きい根の式を微分しなくても、実数解なら大きい根は平均以上、虚数解なら絶対値は積の平方根、という基本事実で下から評価できる。注意点は、(1)で t≧0 の確認を省かないこと、(2)で a=4−22 の等号が最小値を実現することを明記することである。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。
冊子PDFで見る京大の関数の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2000年度 前期 理系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。