方針
f(x)=ax2+bx+c をそのまま代入し,左右の積分を a,b,c で表す。[−1,1] 上では奇関数の積分が消えるため,x の奇数乗を含む項を落として整理できる。最後は右辺から左辺を引き,(a+3c)2+2b2 の形の平方和になることを示せばよい。不等式の証明なので,差が非負であることと等号条件まで確認する。
解答
f(x)=ax2+bx+c とすると f′(x)=2ax+b である。まず左辺を計算する。(1−x2){f′(x)}2=(1−x2)(2ax+b)2=(1−x2)(4a2x2+4abx+b2). [−1,1] で奇関数の積分は 0 になるので,4abx(1−x2) の積分は消える。したがって∫−11(1−x2){f′(x)}2dx=4a2∫−11(x2−x4)dx+b2∫−11(1−x2)dx=4a2(32−52)+b2(2−32)=1516a2+34b2.次に右辺を計算する。{f(x)}2=(ax2+bx+c)2=a2x4+b2x2+c2+2abx3+2acx2+2bcx.ここでも奇関数の項の積分は消えるから,6∫−11{f(x)}2dx=6(a2⋅52+b2⋅32+c2⋅2+2ac⋅32)=512a2+4b2+12c2+8ac.よって右辺から左辺を引くと6∫−11{f(x)}2dx−∫−11(1−x2){f′(x)}2dx=(512−1516)a2+(4−34)b2+8ac+12c2=34a2+38b2+8ac+12c2=34{(a+3c)2+2b2}.これは常に 0 以上である。したがって ∫−11(1−x2){f′(x)}2dx≦6∫−11{f(x)}2dx が成り立つ。なお等号は a+3c=0 かつ b=0 のときに起こる。
別解
解法2(偶関数部分と奇関数部分を分ける方法)
方針
f(x)=g(x)+h(x),g(x)=ax2+c,h(x)=bx と偶関数部分・奇関数部分に分ける。対称区間では偶関数と奇関数の積の積分が0になるので、示すべき差も g の寄与と h の寄与に分離する。それぞれを計算すると平方と正の項になる。
解答
g(x)=ax2+c,h(x)=bx とおくと、g は偶関数、h は奇関数であり、f=g+h,f′=g′+h′である。g′ は奇関数、h′ は偶関数だから、対称区間 [−1,1] では交差項の積分が消える。したがって6∫−11{f(x)}2dx−∫−11(1−x2){f′(x)}2dx=[6∫−11g(x)2dx−∫−11(1−x2)g′(x)2dx]+[6∫−11h(x)2dx−∫−11(1−x2)h′(x)2dx].まず g(x)=ax2+c,g′(x)=2ax なので6∫−11g(x)2dx−∫−11(1−x2)g′(x)2dx=34(a+3c)2.また h(x)=bx,h′(x)=b なので6∫−11h(x)2dx−∫−11(1−x2)h′(x)2dx=38b2.よって全体の差は34{(a+3c)2+2b2}≧0である。これが求める不等式である。等号は a+3c=0 かつ b=0 のときに限る。
総評
係数計算型の不等式証明で,想定時間は12分から15分,難易度は5,計算量は4程度。[−1,1] の対称性で奇関数項が消えることを使うと計算がかなり短くなる。採点上は,左右を別々に計算したあと,差を (a+3c)2+2b2 の平方和へ落とすところが中心である。途中で小数や近似を使う必要はなく,分数係数を丁寧に保つことがミス防止になる。
冊子PDFで見る京大の積分の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2008年度 前期 数学(文系学部)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。