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京都大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系甲)理系(甲)数学 第4問

A=(abcd)adbc=1 をみたす行列とする.ただし,a,b,c,d は実数である.
正の整数 n に対して(x1y1)=(10),(xn+1yn+1)=A(xnyn)により xn,yn を定める.x22+y22=x32+y32=1ならば,すべての n に対して xn2+yn2=1 であることを示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

行列数列 場合分け、帰納的定義の利用、計算整理

方針

まず(x2,y2)=(a,c)なので,長さ条件からa2+c2=1を得る。次に(x3,y3)=A(a,c)Tを計算し,adbc=1を用いて長さ条件を整理すると(a+d)(da)=0,つまりd=aまたはd=aに分かれる。d=aの場合はAが回転型(acca)になるか,少なくとも初期ベクトルの軌道が(±1,0)に留まる。d=aの場合はA2=Eとなり,2つ進むごとに符号が変わるだけなので長さが保たれる。

解答

A=(abcd)とする。初期値は(x1y1)=(10)であるから(x2y2)=A(10)=(ac)である。条件x22+y22=1より a2+c2=1 である。

次に(x3y3)=A(ac)=(a2+bcac+cd)である。ここでadbc=1より bc=ad1 なので x3=a2+bc=a2+ad1=a(a+d)1 であり,y3=ac+cd=c(a+d) である。x32+y32=1を用いると {a(a+d)1}2+c2(a+d)2=1 である。左辺を整理すると,a2+c2=1より (a+d)22a(a+d)+1=1 となる。したがって (a+d)22a(a+d)=0 すなわち (a+d)(da)=0 である。よって d=aまたはd=a である。

まずd=aの場合を考える。adbc=1より a2bc=1 である。一方a2+c2=1なので bc=c2 である。もしc0ならb=cであり,A=(acca),a2+c2=1となる。このとき任意のベクトル(u,v)Tについて (aucv)2+(cu+av)2=(a2+c2)(u2+v2)=u2+v2 であるから,Aを掛けても長さは変わらない。したがってすべてのnxn2+yn2=1 である。 d=aかつc=0の場合は,a2+c2=1よりa=±1である。このときA(10)=(a0)であり,以後も第2成分は0のまま,第1成分は±1に留まる。よってこの場合も長さは常に1である。

次にd=aの場合を考える。adbc=1より a2bc=1,bc=(a2+1) である。直接計算するとA2=(abca)2=(a2+bcababacacbc+a2)=(1001)である。したがって(xn+2yn+2)=A2(xnyn)=(xnyn)である。2つ進むごとに符号が変わるだけなので,長さは保たれる。

以上のすべての場合で xn2+yn2=1(n=1,2,3,) が成り立つ。

別解

解法2

方針

T=a+dvn=(xn,yn)T とおく。adbc=1 から行列恒等式 A2TA+E=O を直接確かめ、vn+2=Tvn+1vn を得る。初期の3本の単位ベクトル v1,v2,v3 の関係から T=0 または T=2v2v3 を導き、「長さ1」と「隣接内積一定」を同時に帰納する。

解答

E を2次の単位行列、T=a+d とする。adbc=1 を用いて直接計算するとA2TA+E=Oである。vn=(xn,yn)T とおけばvn+2=Tvn+1vnを得る。特にv1=Tv2v3.仮定と初期値よりv1=v2=v3=1.上の等式の両辺の長さの平方をとると1=T2+12T(v2v3),したがってT{T2(v2v3)}=0.T=0 のときは vn+2=vn であるから、すべての項の長さは1である。

T0 のとき、c0=v2v3 とおけば T=2c0 である。
ある n2 についてvn=vn+1=1,vnvn+1=c0が成り立つとする。このときvn+22=Tvn+1vn2=T2+12Tc0=1,またvn+1vn+2=Tc0=c0.よってこの性質は次の組にも引き継がれる。n=2 では成立しているので、
数学的帰納法により、すべての正の整数 nxn2+yn2=1である。

総評

難度7、計算量6。目安時間は25分程度で,条件x22+y22=x32+y32=1を成分計算で使い切る証明問題である。adbc=1を使ってx3,y3a+dで整理し,(a+d)(da)=0に落とすのが山である。d=aでは長さ保存型,d=aではA2=E型として処理できる。抽象的な行列用語を使わなくても,成分の二乗和を直接計算すれば高校範囲で完結する。

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出典: 京都大学 2009年度 前期 数学(理系(甲))(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。