Evolton

京都大学 2016年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

複素数を係数とする2次式f(x)=x2+ax+bに対し,次の条件を考える.

(イ) f(x3)f(x)で割り切れる.

(ロ) f(x)の係数a,bの少なくとも一方は虚数である.

この2つの条件(イ),(ロ)を同時に満たす2次式をすべて求めよ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安30

複素数平面数と式 場合分け、複素数の極形式、解と係数の関係

方針

f(x)の根を重複も考えてα,βとする。f(x3)f(x)で割り切れるためには,各根γについてγ3が再びf(x)=0の根であることが必要で,重根の場合も確認する。2個以下の根集合が3乗で閉じる場合を分類する。両方が固定されると根は0,±1だけで実係数になり不適。非実係数が出るのは,固定根1または1へもう一方の根が写る場合と,2根が3乗で入れ替わる場合である。

解答

f(x)の根をα,βとする。条件(イ)より,f(x)=0の根γを代入すると f(γ3)=0 でなければならない。したがって,根の集合は3乗をとる操作で閉じている。

まず重根の場合を確認する。f(x)=(xα)2なら,条件(イ)からα3=αが必要である。よって α=0, 1, 1 であり,このとき係数は実数になるので条件(ロ)に反する。したがって,条件を満たすものは異なる2根をもつ場合に限られる。

異なる2根の集合をS={α,β}とする。各根を3乗してもSに残る。根が3乗で自分自身に戻る固定点なら,z3=z よりz=0,1,1である。2根がともに固定点なら係数は実数となり,不適である。

次に,一方の根が固定点で,もう一方の根がその固定点へ移る場合を考える。固定点が0なら,z3=0よりz=0となって2根が異なることに反する。固定点が1なら,もう一方の根は1以外の3乗根であり,12+32i,1232i である。したがって x2(12+32i)x12+32i x2(1232i)x1232i を得る。固定点が1なら,もう一方の根は1以外の1の3乗根であり,12+32i,1232i である。したがって x2+(1232i)x1232i x2+(12+32i)x12+32i を得る。

最後に,2根が3乗で入れ替わる場合を考える。α3=ββ3=αとすると,α9=α である。α=0ならβ=0となり異なる2根ではないので,α0である。よって α8=1 である。8乗根のうち,3乗で入れ替わる組は{eπi/4,e3πi/4},{i,i},{e5πi/4,e7πi/4}である。このうち{i,i}からはx2+1ができ,係数が実数なので条件(ロ)に反する。残りの2組から x22ix1,x2+2ix1 を得る。

以上の候補はいずれも,根を3乗すると同じ2根の集合に入るため条件(イ)を満たし,かつ係数の少なくとも一方が虚数である。したがって求める2次式はx2(12+32i)x12+32i,x2(1232i)x1232i,x2+(1232i)x1232i,x2+(12+32i)x12+32i,x22ix1,x2+2ix1である。

別解

解法2

方針

f(x3)f(x)で割った余りを係数比較で0にする代数的解法。x2axb(modf(x))からx3の1次式表示を作り,余りのx係数と定数項を因数分解する。根の写像を場合分けせず,連立代数方程式として全候補を得る。

解答

f(x)=x2+ax+bとする。f(x)を法としてx2axb,x3(a2b)x+abである。u=a2b,v=abとおけば,f(x3)(ux+v)2+a(ux+v)+b.ここで再びx2axbを使うと,余りは{au2+2uv+au}x+{bu2+v2+av+b}となる。したがって割り切れるための必要十分条件は,整理してa(a2b)(a23b1)=0,(1)b(a43a2ba2+b21)=0(2)である。

a=0なら(2)はb(b21)=0となり,b=0,±1である。またb=0なら(1)はa3(a21)=0となり,a=0,±1である。いずれも係数は実数なので条件(ロ)を満たさない。以下a,b0とする。

(1) より,まずb=a2の場合を考える。(2)へ代入するとa2(a2a+1)(a2+a+1)=0となる。a0なので,a2a+1=0またはa2+a+1=0である。これらからx2(12+32i)x12+32i,x2(1232i)x1232i,x2+(1232i)x1232i,x2+(12+32i)x12+32i(3)を得る。

次にa23b1=0,すなわちb=(a21)/3の場合,(2)は(a2)(a1)(a+1)(a+2)(a2+2)=0となる。a=±1,±2では係数が実数なので除外し,a=±2iからx22ix1,x2+2ix1(4)を得る。

(1) の因数をすべて調べたので分類は尽くされている。(3),(4)はいずれも(1),(2)を満たし,非実係数をもつ。したがって求める2次式は(3),(4)の6個である。

総評

難度7,計算量5。目安時間は30分。2根が3乗で入れ替わる場合だけを見ると,固定根11へもう一方の根が写る4つの解を落とす。条件は「3乗したものが根である」ことであり,3乗操作が根集合上で一対一であるとは限らない。重根,固定点,固定点へ流れ込む場合,2周期の場合を順に分類すると漏れがない。最後の候補確認では,係数が実数になるx2+1などを条件(ロ)で除外する点も重要である。

冊子PDFで見る京大の複素数平面の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 2016年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。