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京都大学 2018年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

コインを n 回投げ,複素数 z1,z2,,zn を次のように定める。

(i)
1回目に表が出ればz1=1+3i2とし,裏が出れば z1=1 とする。

(ii)
k=2,3,,n のとき,k 回目に表が出ればzk=1+3i2zk1とし,裏が出れば zk=zk1 とする。ただし,zk1zk1 の共役複素数である。

このとき,zn=1 となる確率を求めよ。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安25

複素数平面確率 状態分類漸化式の変形、複素数の極形式

方針

ω=(1+3i)/2 とおくと ω3=1 であり,zn1,ω,ω2 の3状態だけを動く。表なら指数が1増え,裏なら共役を取るので指数が符号反転する。この3状態で終わる列の数を an,bn,cn として遷移式を作る。初期値から an=bn が保たれることを使い,an+1=2nan を解いて,最後に全事象数 2n で割る。

解答

ω=1+3i2 とおく。すると ω3=1ω=ω2ω2=ω である。したがって zn は常に 1, ω, ω2 のいずれかである。 n 回後に 1,ω,ω2 となる表裏の列の数をそれぞれ an, bn, cn とする。表が出ると ω を掛けるので指数が1増え,裏が出ると共役になるので ωω2 が入れ替わり,1 はそのままである。よって an+1=an+cn,bn+1=an+cn,cn+1=2bn である。

1回目では,裏なら 1,表なら ω であるから a1=1,b1=1,c1=0 である。上の漸化式の第1式と第2式は同じ形なので,a1=b1 から帰納的に an=bn である。また全事象数は 2n 通りなので an+bn+cn=2n であり,cn=2n2an である。したがって an+1=an+cn=2nan を得る。

この漸化式を解く。an+1+an=2n であり,a1=1 である。ここから an=2n(1)n3 が成り立つことは帰納法で確認できる。実際,この式が n で成り立つとするとan+1=2nan=2n2n(1)n3=2n+1+(1)n3=2n+1(1)n+13である。

したがって求める確率は an2n=2n(1)n32n である。

別解

解法2

方針

3状態 1,ω,ω2 にいる確率を直接置く。遷移を表にすると,次時刻に 1ω にいる確率は常に等しい。全確率が1であることを使い,pn=P(zn=1) だけの1次漸化式 pn+1=(1pn)/2 に落として解く。

解答

ω=1+3i2とおくと,ω3=1,ω=ω2.したがって zn1,ω,ω2 の3状態だけを取る。

それぞれの状態にいる確率をpn=P(zn=1),qn=P(zn=ω),rn=P(zn=ω2)とする。表・裏による遷移は現在1ω1ωω2ω2ω21ωである。よってpn+1=pn+rn2,qn+1=pn+rn2,rn+1=qn.最初の2式から pn+1=qn+1 であり,初期値もp1=q1=12,r1=0だから,すべての n1pn=qn である。

全確率よりrn=1pnqn=12pn.したがってpn+1=pn+12pn2=1pn2.定常値 1/3 を引くとpn+113=12(pn13).p1=1/2 なのでpn13=16(12)n1.ゆえにpn=2n(1)n32n.これが求める確率である。

総評

難度6、目安時間25分。複素数の計算を続けるのではなく,ω3=1 を用いて 1,ω,ω2 の3状態へ落とす。表は指数を1進め,裏は共役により指数の符号を反転する。操作列の個数を数える方法と状態確率を追う方法の双方からP(zn=1)=2n(1)n32nを得た。遷移表で ω からは表・裏のどちらでも ω2 へ移る点を確認し,n=1,2 の直接列挙で初期値と符号を検算する。

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出典: 京都大学 2018年度 前期日程 第2次学力試験 数学(理系)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。