方針
(1) で階乗の下からの評価を帰納法で作る。(2) は nCk を積の形にして、分子の各因子が n 以下であることから 1/k! 以下に押さえる。(3) は二項定理で展開し、k=0,1 の項を 2 として分け、残りに (2) と無限等比和の評価を使う。
解答
(1) k=1 のとき 1!=1=20 であり、成立する。 k=m で m!≧2m−1 が成立すると仮定する。このとき (m+1)!=(m+1)m!≧(m+1)2m−1 である。m≧1 だから m+1≧2 であり、(m+1)2m−1≧2⋅2m−1=2m となる。よって (m+1)!≧2m である。
数学的帰納法により、すべての正の整数 k について k!≧2k−1 が成立する。
(2) nCk=k!n(n−1)⋯(n−k+1) である。ここで分子の k 個の因子はいずれも n 以下であるから n(n−1)⋯(n−k+1)≦nk である。したがって nknCk≦k!1 である。
(1) より k!≧2k−1 だから k!1≦2k−11 であり、nknCk≦2k−11 が示された。
(3)
二項定理より(1+n1)n=k=0∑nnknCk=1+1+k=2∑nnknCkである。よって(1+n1)n=2+k=2∑nnknCkとなる。
(2) を用いると(1+n1)n≦2+k=2∑n2k−11である。右辺の有限和は、無限等比級数 21+41+81+⋯ の一部であり、その和は 1 である。有限和はこの無限和より小さいので (1+n1)n<2+1=3 である。
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別解
解法2(二項展開の各項の比で抑える)
方針
(1) は指定どおり帰納法で示す。(2) は組合せの積表示を nk で割り、
各因子が1以下であることから 1/k! で抑える。(3) では二項展開の
第 k 項を uk とおき、k≧2 で
uk+1/uk≦1/3 となることから、残りを等比数列で直接抑える。
解答
(1) k=1 では 1!=20 である。m!≧2m−1 と仮定すると、
m+1≧2 より(m+1)!=(m+1)m!≧(m+1)2m−1≧2m.したがって数学的帰納法により、すべての正の整数 k で
k!≧2k−1 が成り立つ。
(2) 積表示を使うとnknCk=k!1nnnn−1nn−2⋯nn−k+1≦k!1.ここで積の各因子は 0 以上 1 以下である。(1) よりnknCk≦k!1≦2k−11.(3) n=1 では左辺は 2 であり明らかである。n≧2 とし、uk=nknCk(0≦k≦n)とおく。2≦k<n ならukuk+1=n(k+1)n−k≦k+11≦31.また u2=(n−1)/(2n)<1/2 である。したがってk=2∑nuk<21(1+31+321+⋯)=43.二項定理より(1+n1)n=u0+u1+k=2∑nuk<2+43<3.
総評
帰納法から二項展開の評価へ進む誘導問題。目安時間は23分。(1) の初期値と帰納段階、(2) の各因子の範囲、(3) の厳密な不等号を明示する。二項展開の残りは 1/2 公比の評価でも、各項の比が 1/3 以下という評価でも3未満に抑えられる。
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冊子PDFで見る九大の場合の数の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1981年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。