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九州大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

次の(1),(2),(3)に答えよ.

(1) 数学的帰納法を用いて,正の整数kに対してk!2k1が成立することを示せ.

(2) 1knを満たす整数knに対して
nCknk12k1が成立することを示せ.

(3) 正の整数nに対して(1+1n)n<3が成立することを示せ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安23

場合の数数と式論証・証明 数学的帰納法不等式評価、二項定理

方針

(1) で階乗の下からの評価を帰納法で作る。(2) は nCk を積の形にして、分子の各因子が n 以下であることから 1/k! 以下に押さえる。(3) は二項定理で展開し、k=0,1 の項を 2 として分け、残りに (2) と無限等比和の評価を使う。

解答

(1) k=1 のとき 1!=1=20 であり、成立する。 k=mm!2m1 が成立すると仮定する。このとき (m+1)!=(m+1)m!(m+1)2m1 である。m1 だから m+12 であり、(m+1)2m122m1=2m となる。よって (m+1)!2m である。
数学的帰納法により、すべての正の整数 k について k!2k1 が成立する。

(2) nCk=n(n1)(nk+1)k! である。ここで分子の k 個の因子はいずれも n 以下であるから n(n1)(nk+1)nk である。したがって nCknk1k! である。
(1) より k!2k1 だから 1k!12k1 であり、nCknk12k1 が示された。

(3)
二項定理より(1+1n)n=k=0nnCknk=1+1+k=2nnCknkである。よって(1+1n)n=2+k=2nnCknkとなる。
(2) を用いると(1+1n)n2+k=2n12k1である。右辺の有限和は、無限等比級数 12+14+18+ の一部であり、その和は 1 である。有限和はこの無限和より小さいので (1+1n)n<2+1=3 である。
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別解

解法2(二項展開の各項の比で抑える)

方針

(1) は指定どおり帰納法で示す。(2) は組合せの積表示を nk で割り、
各因子が1以下であることから 1/k! で抑える。(3) では二項展開の
k 項を uk とおき、k2
uk+1/uk1/3 となることから、残りを等比数列で直接抑える。

解答

(1) k=1 では 1!=20 である。m!2m1 と仮定すると、
m+12 より(m+1)!=(m+1)m!(m+1)2m12m.したがって数学的帰納法により、すべての正の整数 k
k!2k1 が成り立つ。

(2) 積表示を使うとnCknk=1k!nnn1nn2nnk+1n1k!.ここで積の各因子は 0 以上 1 以下である。(1) よりnCknk1k!12k1.(3) n=1 では左辺は 2 であり明らかである。n2 とし、uk=nCknk(0kn)とおく。2k<n ならuk+1uk=nkn(k+1)1k+113.また u2=(n1)/(2n)<1/2 である。したがってk=2nuk<12(1+13+132+)=34.二項定理より(1+1n)n=u0+u1+k=2nuk<2+34<3.

総評

帰納法から二項展開の評価へ進む誘導問題。目安時間は23分。(1) の初期値と帰納段階、(2) の各因子の範囲、(3) の厳密な不等号を明示する。二項展開の残りは 1/2 公比の評価でも、各項の比が 1/3 以下という評価でも3未満に抑えられる。
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出典: 九州大学 1981年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。