方針
(1) は x3+bx を奇関数部分、ax2+c を偶関数部分として分ける。対称区間 [−1,1] では奇関数と偶関数の積の積分が 0 になるので、差は平方の積分として非負になる。(2) は b だけの二次式にして、平方完成または頂点で最小値を求める。
解答
(1)
まず x3+ax2+bx+c=(x3+bx)+(ax2+c) と分ける。ここで x3+bx は奇関数、ax2+c は偶関数である。したがって、その積 (x3+bx)(ax2+c) は奇関数であり、
対称区間では∫−11(x3+bx)(ax2+c)dx=0となる。
よって∫−11(x3+ax2+bx+c)2dx=∫−11(x3+bx)2dx+2∫−11(x3+bx)(ax2+c)dx+∫−11(ax2+c)2dxであるから、∫−11(x3+ax2+bx+c)2dx=∫−11(x3+bx)2dx+∫−11(ax2+c)2dxを得る。右辺第2項は平方の積分なので 0 以上である。したがって∫−11(x3+ax2+bx+c)2dx≧∫−11(x3+bx)2dxである。
(2) I(b)=∫−11(x3+bx)2dxとおく。展開するとI(b)=∫−11(x6+2bx4+b2x2)dxである。偶関数の積分なので I(b)=72+54b+32b2 となる。
これを平方完成すると I(b)=32(b+53)2+I(−53) である。したがって任意の実数 b について I(b)≧I(−53) が成り立つ。すなわち∫−11(x3+bx)2dx≧∫−11(x3−53x)2dxである。
奇関数と偶関数の積は奇関数になり、対称区間で交差項が消える
別解
解法2
方針
積分を内積のように扱う。(1) は奇関数部分と偶関数部分の交差項が
消えることを使う。(2) は x3−3x/5 と x の交差項も
0になることを直接計算し、どちらも平方の積分を加える形にする。
解答
(1)
u=x3+bx, v=ax2+c とおく。u は奇関数、v は
偶関数だから∫−11uvdx=0.よって∫−11(u+v)2dx=∫−11u2dx+∫−11v2dx≧∫−11u2dx.(2)
w=x3−53x とおく。すると∫−11wxdx=∫−11(x4−53x2)dx=52−53⋅32=0.またx3+bx=w+(b+53)x.したがって∫−11(x3+bx)2dx=∫−11w2dx+(b+53)2∫−11x2dx≧∫−11w2dx.これが求める不等式である。
総評
対称区間での奇関数・偶関数の分離が主題である。目安時間は14分。(1) で交差項が消える理由を言葉で書き、(2) で b の二次式を平方完成すれば、計算量はかなり抑えられる。 2つの解法を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号・最終値を確認した。
冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1984年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。