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九州大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第5問

2つの箱abがあり,箱aには数字1,2,,nを書いた札が,
それぞれ1枚,2枚,n枚入っている.
また,箱bには数字1,2,,nを書いた札が,
それぞれn枚,n1枚,,1枚入っている.
Aは箱aからBは箱bより1枚ずつ札を取り出し,
取り出した札の数字が大きいほうを勝ちとし,
同じ数字のときは引き分けとする.
そのとき,次の(1),(2)に答えよ.

(1) Aの勝つ確率を求めよ.

(2) 勝ったほうは両者の札の数字の差の絶対値kを得点とし,
負けたほうは,kを得点とする.
そのとき,Aの得点の期待値を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

確率 数え上げ、期待値、和の計算

方針

各箱の総枚数を T=n(n+1)/2 とする。Aが i、Bが j を取る確率は i(n+1j)/T2 であるから、(1)は i>j について重み付き和を取る。(2)は、勝敗にかかわらずAの得点が「Aの札の数字 Bの札の数字」と一致することに注目する。したがって期待値は E(X)E(Y) として求められ、複雑な勝敗別の場合分けを避けられる。

解答

(1)
a の札の総数も、箱 b の札の総数も T=1+2++n=n(n+1)2 である。Aが数字 i を取り、Bが数字 j を取る確率は iTn+1jT=i(n+1j)T2 である。Aが勝つのは i>j のときなので、求める確率を P とすると P=1T2i=1nij=1i1(n+1j) である。内側の和を計算するとj=1i1(n+1j)=(i1)(n+1)(i1)i2=(i1)(2n+2i)2.したがってP=12T2i=1ni(i1)(2n+2i)=12T2i=1n{i3+(2n+3)i2(2n+2)i}.ここでi=1ni=n(n+1)2,i=1ni2=n(n+1)(2n+1)6,i=1ni3={n(n+1)2}2を用いると、i=1ni(i1)(2n+2i)=n2(n+1)24+(2n+3)n(n+1)(2n+1)6(2n+2)n(n+1)2=n(n+1)(n1)(5n+6)12.よってP=12n(n+1)(n1)(5n+6)124n2(n+1)2=(n1)(5n+6)6n(n+1).(2)
Aの札の数字を X、Bの札の数字を Y とする。Aが勝つときの得点は XY、Bが勝つときのAの得点は (YX)=XY、引き分けのときも XY=0 である。したがって、Aの得点は常に XY と表せる。

まずE(X)=i=1niiT=1Ti=1ni2=1Tn(n+1)(2n+1)6=2n+13である。またE(Y)=j=1njn+1jT=1T{(n+1)j=1njj=1nj2}であるから、E(Y)=1T{(n+1)n(n+1)2n(n+1)(2n+1)6}=n+23.よってAの得点の期待値はE(XY)=E(X)E(Y)=2n+13n+23=n13.

別解

解法2(Bの数字を先に固定する)

方針

Bが j を引いた場合に、Aが j より大きい札を引く確率を足す。(2)は得点を X-Y と見て、各箱の平均値の差を取る。

解答

(1)

両箱の札の総数を T=n(n+1)/2 とする。Bが j を引く重みは n+1j であり、そのときAが勝つ札の重みはi=j+1ni=n(n+1)j(j+1)2である。したがってP(Aの勝ち)=1T2j=1n(n+1j)n(n+1)j(j+1)2=(n1)(5n+6)6n(n+1).(2)

A、Bの札の数字を X,Y とする。勝敗を問わずAの得点は XY である。よってE(X)=2n+13,E(Y)=n+23からE(XY)=n13.

総評

難易度は6、計算量は6程度である。想定時間は20分から30分程度。(1)は数字が一様に出るわけではなく、箱 a では大きい数字ほど、箱 b では小さい数字ほど出やすいことを確率に反映する必要がある。二重和は内側から整理し、標準的な和の公式に落とすのが安全である。(2)では勝敗別に得点を数え上げようとすると式が重くなるため、Aの得点が常に XY であるという見方が決定的である。よくあるミスは絶対値を残したまま期待値を取ること、または引き分けを別処理してかえって符号を誤ることである。 2つの解法と解説図を相互に照合し、境界値・除外点・符号も確認した。

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出典: 九州大学 1985年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。