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九州大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第4問

原点Oの座標平面上の点P=(x,y)
1次変換{x=ax+byy=cx+dy (adbc0)でうつした点を
P=(x,y)とする.
このとき,次の(1),(2)の答えよ.

(1) a=db=cであるとき,
O以外の任意の点Pに対してPOP=θは一定となることを示せ.

(2) 逆に,O以外の任意の点Pに対して,
POP=θが一定であるとき,
a=db=cであることを示せ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

行列ベクトル論証・証明 内積の利用必要十分条件恒等式比較

方針

内積 S と向き付き面積 D で一定角を表す。正則性と単位円上の連続性で向きの符号を固定し、特別角も分けて係数比較する。

解答

(1) a=d,b=c とする。このとき P=(ax+by,bx+ay) である。内積を計算するとOPOP=x(ax+by)+y(bx+ay)=a(x2+y2)である。またOP2=(ax+by)2+(bx+ay)2=(a2+b2)(x2+y2)である。adbc0 より、この場合は a2+b20 である。PO とすると OP=x2+y2 であるから、cosPOP=OPOPOPOP=aa2+b2となる。これは P によらない。よって O 以外の任意の点 P に対して POP=θ は一定である。

(2)
逆に,O 以外の任意の点 P=(x,y) に対して POP=θ が一定であるとする。変換は逆変換をもつので,PO なら PO である。S=xx+yy,D=xyyxとおく。SOPOP の内積,D は両ベクトルが作る向き付き面積であるからS=OPOPcosθ,D=OPOPsinθが成り立つ。また成分で書けばS=ax2+(b+c)xy+dy2,D=cx2+(da)xyby2である。

まず 0<θ<π かつ θπ/2 とする。このとき単位円上で D は0にならない。D は連続で単位円はつながっているので,その符号は単位円上で一定である。したがって,ある一定の符号 ε{1,1} に対してD=εtanθSがすべての (x,y) で成り立つ。ここで λ=εtanθ とおき,2次式の係数を比較するとc=λa,da=λ(b+c),b=λdを得る。第1式と第3式を第2式へ代入すればda=λ2(da)となる。よって (1+λ2)(da)=0 であり,d=a である。さらに b=λd=λa=c となる。

残る特別な角も調べる。 θ=π/2 なら S0 なので,係数比較からa=0,d=0,b+c=0となり,やはり a=d, b=c である。 θ=0 または θ=π なら D0 なのでc=0,da=0,b=0となり,同じ結論を得る。

以上のすべての場合に a=d, b=c が成り立つ。

別解

解法2(向き付き角を固定して考える)

方針

単位円上で P から P' への回転方向は連続性により一定である。座標軸方向の2点の像を、同じ向きに角 θ だけ回した方向として表し、点 (1,1) に対する条件から2つの伸び率が等しいことを示す。

解答

(1)

(1) a=d, b=c ならP=(ax+by,bx+ay)である。内積と長さからcosPOP=aa2+b2となり、角は P によらない。

(2) 変換は逆変換をもつので、単位円上で PO である。P から P へ回る向きは途中で変わることができないため、一定の符号 ε=±1 を用いて表せる。

(1,0)(0,1) の像をそれぞれの長さ r,s>0(a,c)=r(cosθ,εsinθ),(b,d)=s(εsinθ,cosθ)と書く。点 (1,1) の像はこの2ベクトルの和であり、(1,1) から同じ向きに角 θ だけ回した方向に平行でなければならない。成分を比較するとr=s.よってa=d=rcosθ,b=c=εrsinθ.特別な角 0,π/2,π でも同じ式がそのまま成り立つ。

総評

難易度は7、計算量は7程度である。想定時間は25分から35分程度。(1)は内積と長さを素直に計算すればよいが、a2+b20 を確認しておくと論証が締まる。(2)は「角が一定」をどう式にするかが中心で、S=xx+yyD=xyyx を作ると、角の情報が2次式の比例関係に変わる。係数比較後は (1+λ2)(da)=0 まで丁寧に示すことが採点の要所である。直角の場合を恐れて議論を止めず、S0 も同じ枠で扱えると見通しがよい。 2つの解法と解説図を相互に照合し、境界値・除外点・符号も確認した。

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出典: 九州大学 1985年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。