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九州大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第6問

初めに,袋Aの中に赤球2個,袋Bの中に白球2個が入っている.
Aから無作為に1個の球を取り出してBに入れ,
その後Bの中から無作為に1個の球を取り出してAに戻す」という操作をくり返す.
いまn回操作した後に,Aの中に白球が0,1,2個入っているという事象を,
それぞれAn(0)An(1)An(2)で表す.
このとき,次の問に答えよ.

(1) 事象A2(0)A2(1)A2(2)のそれぞれが起こる確率を求めよ.

(2) 事象An(0)An(1)An(2)のそれぞれが起こる確率を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安22

確率数列 状態分類確率漸化式漸化式の変形

方針

A の白球数だけを状態 0,1,2 として追う。1回の操作で、A から何色を移し、その後 B から何色を戻すかを数えて遷移確率を作る。(1) は2回分を直接計算する。(2)pn(i)=P(An(i)) とおき、pn(1)n1 で一定になること、差 pn(2)pn(0) が毎回 1/3 倍になることを使って一般項を求める。

解答

(1)
A の中の白球数が i 個である状態を、単に状態 i と書く。全体では赤球2個、白球2個があるので、状態 i のとき袋 A には白球 i 個、赤球 2i 個が入っている。

1回の操作での遷移確率を求める。状態0では、最初に A から赤球を取り出すしかない。その後 B には白球2個、赤球1個が入っているので 00:13,01:23 である。状態1では、場合分けにより 10:16,11:23,12:16 である。状態2では状態0と対称に 21:23,22:13 である。

初めは状態0である。1回後の確率は (13,23,0) である。さらに1回操作すると P(A2(0))=1313+2316=29 であり、P(A2(1))=1323+2323=23 であり、P(A2(2))=2316=19 である。したがってP(A2(0))=29,P(A2(1))=23,P(A2(2))=19である。

(2) pn(i)=P(An(i))(i=0,1,2) とおく。上で求めた遷移確率から pn+1(0)=13pn(0)+16pn(1) pn+1(1)=23pn(0)+23pn(1)+23pn(2) pn+1(2)=16pn(1)+13pn(2) である。

まず2番目の式より pn+1(1)=23{pn(0)+pn(1)+pn(2)}=23 である。したがって n1 では pn(1)=23,pn(0)+pn(2)=13 である。

次に差をとると pn+1(2)pn+1(0)=13{pn(2)pn(0)} である。初めは p0(0)=1p0(2)=0 なので p0(2)p0(0)=1 である。よって pn(2)pn(0)=13n となる。 n1 では、和と差 pn(0)+pn(2)=13,pn(2)pn(0)=13n から pn(0)=12(13+13n) pn(2)=12(1313n) である。したがって P(An(0))=12(13+13n) P(An(1))=23 P(An(2))=12(1313n) である。ただし n1 である。初期状態は P(A0(0))=1P(A0(1))=P(A0(2))=0 である。

別解

解法2(端の状態の和と差)

方針

状態0と状態2の確率の和 un と差 vn を直接追う。1回の操作で un1/3 に固定され、vn1/3 倍されるため、連立漸化式を短く解ける。

解答

(1)
1回の操作による白球数の遷移は0120から1/32/301から1/62/31/62から02/31/3である。初めは状態0なので1回後は (1/3,2/3,0) であり、もう1回進めるとP(A2(0))=29,P(A2(1))=23,P(A2(2))=19.(2)
pn(i)=P(An(i)) とし、端の2状態の和と差をun=pn(0)+pn(2),vn=pn(0)pn(2)と置く。上の表からun+1=13{pn(0)+pn(1)+pn(2)}=13,vn+1=13{pn(0)pn(2)}=13vn.初期値は v0=1 なので vn=3n である。また n1 では un=1/3 であり、残りから pn(1)=2/3 となる。和と差を戻してP(An(0))=12(13+13n),P(An(1))=23,P(An(2))=12(1313n)(n1).

総評

袋間の球移動を3状態で追う問題で、目安は22分。最初に遷移表を正確に作ることが中心である。行列を使わず、中央状態が2/3に固定されることと両端確率の差が1/3倍になることから一般項を得られる。

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出典: 九州大学 1987年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。