Evolton

九州大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第5問

袋の中に赤球2個と白球3個が入っている.
この袋から無作為に球を1個取り出し,
取り出した球が赤球なら+1,白球なら1と記録してから,球を袋に戻す.
この試行をn(n3)くり返して得られる数列に対して,
次の(1),(2)に答えよ.

(1) 符号の変化が1回だけ起こる確率Pnを求めよ.

(2) 符号の変化が2回以上起こる確率Qnを求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

確率数列 状態分類数え上げ、余事象

方針

各試行は独立で,+ の確率が 2/5 の確率が 3/5 である。符号変化が1回だけの列は,ある位置 r まで同じ符号が続き,そこから最後まで反対符号が続く列に限られる。+ から へ変わる場合と から + へ変わる場合を足し,等比数列の和を整理する。(2) は全体から,変化0回と変化1回を除く。

解答

(1) 赤球を取り出したときの記録 +1 を単に +,白球の記録 1 と書く。各回の確率は P(+)=25,P()=35 である。

符号の変化が1回だけ起こるためには,ある r (1rn1) について,初めの r 個が同じ符号で,残りの nr 個が反対の符号でなければならない。したがってPn=r=1n1{(25)r(35)nr+(35)r(25)nr}である。

第一の和を計算する。r=1n1(25)r(35)nr=(35)nr=1n1(23)rであるから=(35)n23{1(23)n1}123=2{(35)n35(25)n1}である。同様に第二の和は3{25(35)n1(25)n}である。これらを足して整理するとPn=125{(35)n1(25)n1}となる。よってPn=125{(35)n1(25)n1}である。

(2) 符号の変化が2回以上起こる事象は,「符号変化が0回」でも「符号変化が1回」でもない事象である。符号変化が0回である確率は,すべて + またはすべて なので (25)n+(35)n である。したがってQn=1{(25)n+(35)n}Pnであり,(1) の結果を代入してQn=1(25)n(35)n125{(35)n1(25)n1}である。

別解

解法2(終符号別の漸化式)

方針

変化0回の列と、変化1回で終符号が正・負の列を分ける。末尾へ一符号を追加する漸化式から閉じた形を得る。

解答

p=2/5q=3/5 と置く。

(1)
変化が1回で最後が + となる確率を Xn、最後が となる確率を Yn とする。末尾へ符号を加えるとXn+1=p(Xn+qn),Yn+1=q(Yn+pn),X1=Y1=0 である。これを繰り返すとXn=Yn=pqqp(qn1pn1).従ってPn=Xn+Yn=125{(35)n1(25)n1}.(2)
変化0回の確率は pn+qn だからQn=1pnqnPn.すなわちQn=1(25)n(35)n125{(35)n1(25)n1}.

総評

難易度は5,計算量は5程度である。想定時間は15分から22分程度。符号変化の回数を直接追うより,変化する位置を一つ決めると数え上げが安定する。+ の確率が等しくないため,単に型の個数を数えるだけでは不十分で,長さ r の部分ごとの確率を掛ける必要がある。(2) は余事象で処理するのが最短で,変化0回と変化1回が重ならないことを確認してから引くとよい。等比数列の整理で 12/5 の係数を落としやすい。 解法2では列の始符号と終符号を固定した二つの等比和として計算する。

冊子PDFで見る九大の確率の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 1986年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。