方針
各試行は独立で,+ の確率が 2/5,− の確率が 3/5 である。符号変化が1回だけの列は,ある位置 r まで同じ符号が続き,そこから最後まで反対符号が続く列に限られる。+ から − へ変わる場合と − から + へ変わる場合を足し,等比数列の和を整理する。(2) は全体から,変化0回と変化1回を除く。
解答
(1) 赤球を取り出したときの記録 +1 を単に +,白球の記録 −1 を − と書く。各回の確率は P(+)=52,P(−)=53 である。
符号の変化が1回だけ起こるためには,ある r (1≦r≦n−1) について,初めの r 個が同じ符号で,残りの n−r 個が反対の符号でなければならない。したがってPn=r=1∑n−1{(52)r(53)n−r+(53)r(52)n−r}である。
第一の和を計算する。r=1∑n−1(52)r(53)n−r=(53)nr=1∑n−1(32)rであるから=(53)n⋅1−3232{1−(32)n−1}=2{(53)n−53(52)n−1}である。同様に第二の和は3{52(53)n−1−(52)n}である。これらを足して整理するとPn=512{(53)n−1−(52)n−1}となる。よってPn=512{(53)n−1−(52)n−1}である。
(2) 符号の変化が2回以上起こる事象は,「符号変化が0回」でも「符号変化が1回」でもない事象である。符号変化が0回である確率は,すべて + またはすべて − なので (52)n+(53)n である。したがってQn=1−{(52)n+(53)n}−Pnであり,(1) の結果を代入してQn=1−(52)n−(53)n−512{(53)n−1−(52)n−1}である。
別解
解法2(終符号別の漸化式)
方針
変化0回の列と、変化1回で終符号が正・負の列を分ける。末尾へ一符号を追加する漸化式から閉じた形を得る。
解答
p=2/5、q=3/5 と置く。
(1)
変化が1回で最後が + となる確率を Xn、最後が − となる確率を Yn とする。末尾へ符号を加えるとXn+1=p(Xn+qn),Yn+1=q(Yn+pn),X1=Y1=0 である。これを繰り返すとXn=Yn=q−ppq(qn−1−pn−1).従ってPn=Xn+Yn=512{(53)n−1−(52)n−1}.(2)
変化0回の確率は pn+qn だからQn=1−pn−qn−Pn.すなわちQn=1−(52)n−(53)n−512{(53)n−1−(52)n−1}.
総評
難易度は5,計算量は5程度である。想定時間は15分から22分程度。符号変化の回数を直接追うより,変化する位置を一つ決めると数え上げが安定する。+ と − の確率が等しくないため,単に型の個数を数えるだけでは不十分で,長さ r の部分ごとの確率を掛ける必要がある。(2) は余事象で処理するのが最短で,変化0回と変化1回が重ならないことを確認してから引くとよい。等比数列の整理で 12/5 の係数を落としやすい。 解法2では列の始符号と終符号を固定した二つの等比和として計算する。
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出典: 九州大学 1986年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。