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九州大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

m 枚の硬貨を同時に投げ、表が k 枚出るときX=ak(a>0)とする。

(1) 確率変数 X の期待値 E(X) と分散 V(X) に対してV(X)E(X)=2m(1+a2)m(1+a)2m1が成り立つことを示せ。

(2) a>0 の範囲を動くとき、V(X)E(X)のとりうる値の範囲を求めよ。

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

確率 二項定理、期待値、微分による最大最小

方針

表の枚数 K ごとに X=aK と書き、E(X)E(X2) を二項定理で求める。分散公式へ代入した後、値域は h(a)=2(1+a2)/(1+a)2 を平方の形に変えて決める。

解答

(1)
表が k 枚出る確率はP(K=k)=mCk2m(k=0,1,,m)である。よって二項定理からE(X)=k=0makmCk2m=(1+a)m2m,E(X2)=k=0ma2kmCk2m=(1+a2)m2m.したがってV(X){E(X)}2=E(X2){E(X)}21=2m(1+a2)m(1+a)2m1.E(X)>0 だからV(X)E(X)=2m(1+a2)m(1+a)2m1.(2)h(a)=2(1+a2)(1+a)2とおくとh(a)=1+(a1a+1)2.a>0 では1<a1a+1<1だから1h(a)<2.左端は a=1 で実現する。右端は a0+0 または a で近づくが、有限の正の a では実現しない。よって0V(X)E(X)<2m1.

別解

解法2:硬貨ごとの積として期待値を求める

方針

各硬貨に対し、表なら a、裏なら1をとる確率変数を置くと X はそれらの積になる。独立性により期待値が積に分かれるので、和を展開せずに E(X)E(X2) を得る。値域は微分で確認する。

解答

(1)
i 番目の硬貨についてYi={a(),1()とおくとX=Y1Y2Ym.Yi は独立であり、E(Yi)=1+a2,E(Yi2)=1+a22.したがってE(X)={E(Y1)}m=(1+a2)mであり、E(X2)={E(Y12)}m=(1+a22)m.これをV(X)=E(X2){E(X)}2へ代入するとV(X)E(X)=2m(1+a2)m(1+a)2m1.(2)h(a)=2(1+a2)(1+a)2とおく。微分するとh(a)=4(a1)(a+1)3.よって 0<a<1 で減少し、a>1 で増加する。最小値はh(1)=1であり、lima0+0h(a)=limah(a)=2.ただし a>0 では h(a)=2 にならない。したがって1h(a)<2であり、求める範囲は0V(X)E(X)<2m1.

総評

難度6、計算量6。二項分布の確率変数に対して平均と標準偏差の比を調べる問題で、想定時間は25分程度。分散を求める際は E(X2){E(X)}2 を混同しないこと、値域の上端 2 は極限で近づくだけで含まれないことが重要である。二項定理と独立な積の期待値を相互照合した。

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出典: 九州大学 1989年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。