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九州大学 1991年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

ABの2人がそれぞれ10円硬貨をn回ずつ投げ,
AX回目に,BY回目に初めて表が出たとする.
ただし,n回中に表が一度も出なければ,X=n+1またはY=n+1とおく.
XYの大きいほうの数をZとする.

(1) 確率P(Xk)P(Yk)P(Zk) (k=1,,n)を求めよ.

(2) 確率P(Z=k) (k=1,,n+1)を求めよ.

(3) Zの期待値を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安25

確率数列 余事象、期待値、和の計算

方針

Xk は最初の k 回の中に少なくとも1回表が出ることなので,余事象で求める。ZkXk かつ Yk と同値で,二人の試行は独立である。(2) は分布関数の差 P(Zk)P(Zk1) を使い,k=n+1 だけは残りの確率として処理する。(3) は正の整数値をとる確率変数の公式 E(Z)=k=0nP(Z>k) を使うと,等比数列の和に帰着する。

解答

(1) 1kn とする。Xk は,A が最初の k 回のうち少なくとも1回表を出すことと同じである。その余事象は,最初の k 回がすべて裏であることだから P(Xk)=1(12)k である。同様に P(Yk)=1(12)k である。

また ZX,Y の大きい方なので,ZkXkかつYk と同値である。二人の結果は独立だからP(Zk)=P(Xk)P(Yk)={1(12)k}2である。

(2)
まず 1kn とする。このとき P(Z=k)=P(Zk)P(Zk1) である。したがってP(Z=k)=(112k)2(112k1)2(1kn)である。なお k=1 のときは,P(Z0)=0 と見れば同じ式で扱える。

また Z=n+1 は,少なくとも一方が n 回中に一度も表を出さない場合である。したがって P(Z=n+1)=1P(Zn)=1(112n)2 である。よって P(Z=n+1)=1(112n)2 である。

(3) Z1,2,,n+1 の値をとる正の整数値の確率変数であるから E(Z)=k=0nP(Z>k) を用いる。k=0,1,,n に対して P(Z>k)=1P(Zk) であり,P(Z0)=0(1120)2=0 と見れば同じ式に含められる。よってP(Z>k)=1(112k)2=22k14kである。したがってE(Z)=k=0n(22k14k)となる。

等比数列の和を計算するとk=0n22k=4(112n+1)=412n1であり,k=0n14k=43(114n+1)=43134nである。したがって E(Z)=412n143+134n より E(Z)=8312n1+134n である。

別解

解法2:最大値と最小値の期待値を組み合わせる

方針

(1) (2) は分布関数の差で求める。(3) では W=min(X,Y) と置き、恒等式 Z+W=X+Y を使う。XW の期待値は、それぞれ P(X>k)P(W>k) の和として単純な等比数列になる。

解答

(1)
1kn に対してP(Xk)=P(Yk)=112k.ZkXk かつ Yk と同値だから、独立性よりP(Zk)=(112k)2.(2)P(Z=k)=P(Zk)P(Zk1)=12k134k(1kn).またP(Z=n+1)=1(112n)2=12n114n.(3)W=min(X,Y)とおく。各結果についてZ+W=X+YなのでE(Z)=2E(X)E(W).k=0,1,,n に対してP(X>k)=12k,P(W>k)=P(X>k,Y>k)=14k.したがってE(X)=k=0n12k=212n,E(W)=k=0n14k=43134n.よってE(Z)=8312n1+134n.

総評

初めて表が出る時刻の最大値を扱う確率問題で,目安時間は25分。Xk を「少なくとも1回表が出る」と読み替えて余事象を取るのが第一歩である。Zk は二人とも k 回以内に表を出すことなので,独立性を使って二乗になる。(3) は分布を直接掛けて和を取るより,E(Z)=P(Z>k) を使う方が簡潔である。等比数列の和では最後の係数がずれやすく,正しくは 1/2n1 になる。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 九州大学 1991年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。