方針
(1) は,行列 の二つの列ベクトルを がそれぞれ何倍するかを直接計算し, の形にして を得る。(2) はその結果を 乗し,最後に を成分まで戻す。(3) は比 の漸化式を作り,偶数番だけを見るために2回合成する。 のとき,2回後の値が より大きく,かつ元の より小さいことを不等式で示して帰納法につなげる。
解答
(1) の第1列,第2列をそれぞれとおく。まずである。同様にである。したがってとなる。両辺の左から を掛けてを得る。
(2)
(1) よりである。したがって正整数 に対して である。ここで とおくとである。
またであるから,掛け算を行うととなる。
(3)
与えられた漸化式はである。 は と漸化式から帰納的に分かるので, を用いると である。さらに2回合成するとを得る。
まず である。いま とする。このときである。また である。したがって が成り立つ。
これを に適用すれば, ならば である。 から帰納法により,すべての正整数 について が成り立つ。
別解
解法2:一般項から偶数番の比を直接比較する
方針
(1) (2) は を直接求めて行列積を計算する。(3) では (2) の累乗公式を初期ベクトルに作用させ、 の一般項を求める。偶数番の比を を用いて表し、 と関数 の単調性から結論を得る。
解答
(1) である。これを直接掛けると(2)とおく。(1) からであるから、(3)に (2) を用いるとしたがってなので である。またならばよってがすべての正整数 について成り立つ。
総評
前半は,列ベクトルが定数倍されることを利用して行列の累乗を処理する標準的な問題である。目安時間は35分。採点上は, をただ計算するだけでなく, を明示できると見通しがよい。(3) は既存の累乗公式を使うより,比 の2回合成に落とす方が不等式の構造が見えやすい。 と の二つをそろえて, より上に保たれながら減少することを示すのが中心である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。