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九州大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列A=(1311)
P=(3311)について次の問に答えよ.

(1) P1APを求めよ.

(2) 正整数mに対し,Amを求めよ.

(3) x1=y1=1xn+1=xn+3ynyn+1=xn+yn
rn=xnynn=1,2,3,とおく.
このときr2n>r2(n+1)>3を示せ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安35

行列数列 漸化式の変形、範囲評価、計算整理

方針

(1) は,行列 P の二つの列ベクトルを A がそれぞれ何倍するかを直接計算し,AP=PD の形にして P1AP=D を得る。(2) はその結果を m 乗し,最後に PDmP1 を成分まで戻す。(3) は比 rn=xn/yn の漸化式を作り,偶数番だけを見るために2回合成する。r>3 のとき,2回後の値が 3 より大きく,かつ元の r より小さいことを不等式で示して帰納法につなげる。

解答

(1) P の第1列,第2列をそれぞれu1=(31),u2=(31)とおく。まずAu1=(1311)(31)=(3+33+1)=(1+3)(31)である。同様にAu2=(3+33+1)=(13)(31)である。したがってAP=P(1+30013)となる。両辺の左から P1 を掛けてP1AP=(1+30013)を得る。

(2)
(1) よりA=PDP1,D=(1+30013)である。したがって正整数 m に対して Am=PDmP1 である。ここで α=(1+3)m,β=(13)m とおくとDm=(α00β)である。

またP=(3311),P1=123(1313)であるから,掛け算を行うとAm=(α+β23(αβ)2αβ23α+β2)となる。

(3)
与えられた漸化式は(xn+1yn+1)=A(xnyn)である。yn>0x1=y1=1 と漸化式から帰納的に分かるので,rn=xn/yn を用いると rn+1=xn+3ynxn+yn=rn+3rn+1 である。さらに2回合成するとrn+2=rn+3rn+1+3rn+3rn+1+1=2rn+3rn+2を得る。

まず r2=1+31+1=2>3 である。いま r>3 とする。このとき2r+3r+23=(23)r+323r+2=(23)(r3)r+2>0である。また r2r+3r+2=r23r+2>0 である。したがって 3<2r+3r+2<r が成り立つ。

これを r=r2n に適用すれば,r2n>3 ならば 3<r2n+2<r2n である。r2>3 から帰納法により,すべての正整数 n について r2n>r2(n+1)>3 が成り立つ。

別解

解法2:一般項から偶数番の比を直接比較する

方針

(1) (2) は P1 を直接求めて行列積を計算する。(3) では (2) の累乗公式を初期ベクトルに作用させ、xn,yn の一般項を求める。偶数番の比を 0<qn<1 を用いて表し、qn+1<qn と関数 (1+q)/(1q) の単調性から結論を得る。

解答

(1) P1=123(1313)である。これを直接掛けるとP1AP=(1+30013).(2)λ=1+3,μ=13とおく。(1) からAm=P(λm00μm)P1であるから、Am=(λm+μm23(λmμm)2λmμm23λm+μm2).(3)(xnyn)=An1(11)に (2) を用いるとxn=λn+μn2,yn=λnμn23.したがってr2n=31+qn1qn,qn=(μλ)2n.0<(μλ)2<1なので 0<qn+1<qn<1 である。また0<u<v<1ならば1+v1v1+u1u=2(vu)(1v)(1u)>0.よってr2n>r2(n+1)>3がすべての正整数 n について成り立つ。

総評

前半は,列ベクトルが定数倍されることを利用して行列の累乗を処理する標準的な問題である。目安時間は35分。採点上は,P1 をただ計算するだけでなく,AP=PD を明示できると見通しがよい。(3) は既存の累乗公式を使うより,比 rn の2回合成に落とす方が不等式の構造が見えやすい。(23)(r3)>0r23>0 の二つをそろえて,3 より上に保たれながら減少することを示すのが中心である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。

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出典: 九州大学 1991年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。