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九州大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

1次変換(xy)=(abca)(xy)により,
直線l:y=3xl自身に移り,
直線m:y=2x+12は直線n:y=5x+2に移る.
このとき次の問に答えよ.

(1) abcを求めよ.

(2) 不等式yxの表す領域の1次変換による像を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安18

行列図形と方程式 文字消去座標設定、範囲評価

方針

直線 l:y=3x が同じ直線へ移る条件は,方向ベクトル (1,3) が再び y=3x 上の方向になることとして式にする。直線 m については,点 (x,2x+12) を変換して,得られた (x,y) がすべて y=5x+2 を満たすように係数比較する。(2)は変換が正則であることを確認し,移った後の座標を (X,Y) とおいて逆に x,y を表し,もとの条件 x+y0X,Y の不等式へ直す。

解答

(1)
行列をT=(abca)とおく。直線 l:y=3x の方向ベクトルは (1,3) である。このベクトルはT(13)=(a+3bc3a)に移る。これが再び直線 y=3x の方向であるため,c3a=3(a+3b) すなわち c=6a+9b である。

次に,直線 m:y=2x+12 上の点を (x,2x+12) とおく。この点は x=(a+2b)x+b2,y=(c2a)xa2 に移る。これがすべて直線 n:y=5x+2 上にあるので,y=5x+2x の恒等式として成り立つ。係数を比較して c2a=5(a+2b),a2=5b2+2 を得る。これと c=6a+9b を合わせると,a+b=0,a=5b+4 である。したがって a=1,b=1,c=3 を得る。

(2)
(1)より変換は X=xy,Y=3xy で表される。行列式は 1(1)(1)(3)=4 で0でないから,逆に x,yX,Y で表せる。連立方程式を解くと x=XY4,y=3X+Y4 である。

もとの不等式は yx すなわち x+y0 である。上の式を代入すると x+y=XY43X+Y4=X+Y2 となる。したがって,移った後の領域は X+Y20 すなわち X+Y0 である。通常の座標名 x,y で書けば,求める領域は yx である。

別解

解法2

方針

直線の像に関する条件を,直線上の一般点を行列で移した後の恒等式として一度に処理する。(2)では境界直線の像と,もとの半平面内の代表点の像を調べる。行列式が0でないため,境界のどちら側が像になるかを代表点1個で決定できる。

解答

(1) T(x,y)=(ax+by,  cxay)と書く。直線 l 上の一般点 (s,3s) の像は((a+3b)s,  (c3a)s)である。これが y=3x 上にあるためc3a=3(a+3b)すなわちc=6a+9b(1)を得る。

直線 m 上の一般点 (s,2s+12) の像を (X,Y) とするとX=(a+2b)s+b2,Y=(c2a)sa2.これが恒等的に Y=5X+2 を満たすのでc2a=5(a+2b),a2=5b2+2.(2)(1)(2)からa=1,b=1,c=3となる。

(2)
境界直線 y=x の方向ベクトル (1,1)T(1,1)=(2,2)へ移るので,境界の像も Y=X である。またdet(1131)=40だから,半平面はこの境界の片側全体へ移る。

もとの領域 yx にある点 (0,1) の像はT(0,1)=(1,1)であり,これは YX を満たす。したがって求める像はYXである。座標を通常の x,y に戻せばyxとなる。

総評

1次変換で直線と半平面を扱う標準問題である。目安時間は18分。(1)では「直線が直線へ移る」ことを,直線上の一般点を使って恒等式にするのが確実である。特に m は原点を通らないので,方向だけでなく切片条件も必要になる。(2)では変換後の座標を別文字 X,Y で置くと,もとの x,y と混同しにくい。最後に行列式が0でないことを確認してから逆向きに不等式を移すと,半平面全体を正しく処理できる。

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出典: 九州大学 1993年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。