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九州大学 1992年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

行列A(n)=(anbnbnan)(n>0)で表される1次変換によって、任意の平面ベクトル
x0 は、
大きさが xn 倍であるベクトルに移るとする。

(1) an2+bn2n で表し、A(n)1 を求めよ。

(2) A(n)A(m)=A(m)A(n) を示せ。

(3) 任意のベクトル x に対してA(1)3x=xを満たす A(1) をすべて求めよ。

(4) A(2)(10)=2(11)のときA(2)7(10),(A(2)1)15A(2)8(10)を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安26

行列複素数平面 回転・拡大、計算整理、複素数の極形式

方針

行列 A(n) は、すべてのベクトルの長さを n 倍にする回転を伴う変換として扱える。(1)は (1,0),(0,1) で長さを調べて an2+bn2=n2 を得る。(2)は直接積を計算する。(3)は A(1) が長さを変えない回転で、3回行うと元に戻る角を求める。(4)は A(2) が長さを2倍、角を π4 回す変換であることを使う。

解答

(1) A(n)(10)=(anbn)であり、この長さは n である。したがって an2+bn2=n2 である。

行列式は an2+bn2=n2 なので、逆行列はA(n)1=1n2(anbnbnan)である。

(2)
直接計算するとA(n)A(m)=(anambnbm(anbm+bnam)anbm+bnamanambnbm)である。この右辺は m,n を入れ替えても同じである。よって A(n)A(m)=A(m)A(n) である。

(3) A(1) はすべてのベクトルの長さを変えない。したがって、ある角 θ を用いてA(1)=(cosθsinθsinθcosθ)と表せる。条件 A(1)3x=x が任意のベクトルで成り立つためには、3回の回転で元に戻ればよい。よって3θ=0,2π,4π0θ<2π で考えればよい。

したがってA(1)=(1001)またはA(1)=(12323212)またはA(1)=(12323212)である。

(4)
条件A(2)(10)=2(11)より(a2b2)=(22)である。したがって A(2) は長さを2倍にし、角を π4 だけ回す変換である。

よって A(2)7 は長さを 27 倍し、角を 7π4 だけ回す。したがってA(2)7(10)=128(cos7π4sin7π4)=(642642)である。

また(2)より積の順序を入れ替えられるので (A(2)1)15A(2)8=A(2)15A(2)8=A(2)7 である。これは長さを 27 倍し、角を 7π4、すなわち π4 だけ回す変換である。よってA(2)7(10)=1128(cosπ4sinπ4)=(22562256)である。

別解

解法2

方針

ベクトル (x,y) を複素数 x+yi とみなし、A(n) の作用を複素数 an+bni の掛け算として計算する。

解答

(1)

(x,y)z=x+yi と表すと、A(n) の作用はz(an+bni)zである。長さが常に n 倍になるためan+bni=n,an2+bn2=n2.逆の作用は 1/(an+bni) の掛け算だからA(n)1=1n2(anbnbnan).(2)

A(n)A(m)A(m)A(n) は、それぞれ(an+bni)(am+bmi)(am+bmi)(an+bni)の掛け算に対応する。複素数の積の順序は交換できるのでA(n)A(m)=A(m)A(n).(3)

a1+b1i=1 であり、3乗が1だからa1+b1i=1,12+32i,1232i.したがってA(1)=(1001),A(1)=(12323212),A(1)=(12323212).(4)

条件からa2+b2i=2+2i=2(cosπ4+isinπ4).よって(a2+b2i)7=27(cos7π4+isin7π4)=642642i.したがってA(2)7(10)=(642642).また(A(2)1)15A(2)8=A(2)7.対応する複素数は27(cosπ4+isinπ4)=2256+2256i.よって(A(2)1)15A(2)8(10)=(22562256).

総評

この形の行列を「長さの倍率と回転角」で読む問題である。目安時間は26分。(1)(2)は直接計算で確実に取れる。(3)では A(1)3 が任意のベクトルを元に戻す条件なので、角が 0,2π3,4π3 の3通りになる。(4)は A(2) の1回の働きを長さ2倍・角 π4 と読めば、7回や逆向き7回も迷わず処理できる。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合した。問題文が行列・1次変換を明示するため、1992年度当時の高校課程に含まれる2次行列だけを用いている。

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出典: 九州大学 1992年度 後期 理系 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。