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九州大学 1990年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

行列(c123)によって表される1次変換fは,
楕円x2a2+y2b2=1 (a,b>0)を半径1の円に移すとする.

(1) abcの値を求めよ.

(2) この楕円に内接し,各辺がx軸またはy軸に平行である長方形ABCDは,
1次変換fによって正方形に移されているとする.
長方形ABCDを求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安28

行列図形と方程式 文字消去図形的解釈、計算整理

方針

楕円が1次変換で単位円に移るという条件は、もとの点 (x,y) が楕円上にあることと、変換後の点が X2+Y2=1 を満たすことが同じ、という意味である。そこで (cx+y)2+(2x+3y)2=1 を展開し、軸に平行な楕円の式と係数比較して c,a,b を決める。(2) は長方形の頂点を (±u,±v) とおき、横辺・縦辺が移された後の方向と長さを調べ、正方形になる条件と楕円上の条件を連立する。

解答

(1)
変換後の点を (X,Y) とすると X=cx+y,Y=2x+3y である。楕円上の点が半径 1 の円に移るので、楕円は X2+Y2=1(x,y) で書いたものに等しい。すなわち (cx+y)2+(2x+3y)2=1 である。展開すると (c2+4)x2+2(c+6)xy+10y2=1 となる。

これが x2a2+y2b2=1 という座標軸に平行な楕円の式と一致するためには、xy の係数が 0 でなければならない。よって 2(c+6)=0 から c=6 である。このとき (c2+4)x2+10y2=40x2+10y2 だから 1a2=40,1b2=10 である。a,b>0 より a=1210,b=110,c=6 である。

(2)
長方形の各辺は座標軸に平行で、楕円は原点に関して対称である。したがって長方形の頂点を (±u,±v)(u>0, v>0) とおける。楕円上にある条件は 40u2+10v2=1 である。

横方向の辺ベクトル (2u,0) は、変換によって (2u,0)(12u,4u) に移る。縦方向の辺ベクトル (0,2v)(0,2v)(2v,6v) に移る。これらの内積は (12u)(2v)+(4u)(6v)=0 であるから、移った後の隣り合う辺は直交している。

正方形になるには、さらにこの2つの辺の長さが等しければよい。したがって (12u)2+(4u)2=(2v)2+(6v)2 であり、410u=210v より v=2u である。これを楕円条件に代入すると 40u2+10(2u)2=80u2=1 だから u=145,v=125 である。

したがって求める長方形は (±145, ±125) を頂点にもつ長方形である。

別解

解法2:楕円を媒介表示して像の長さを見る

方針

楕円を (acosθ,bsinθ) と媒介表示し、その像の長さが常に1
となる条件を係数比較する。長方形は二つの辺ベクトルの像の長さを比べる。

解答

(1)
楕円上の点を(x,y)=(acosθ,bsinθ)とする。行列の列ベクトルを
u=(c,2)v=(1,3) とおくと、像は
acosθu+bsinθv である。
その長さが常に1となるにはab(uv)=ab(c+6)=0,a2(c2+4)=1,10b2=1が必要十分である。a,b>0 よりc=6,a=1210,b=110.(2)
頂点を (±u,±v) とおくと40u2+10v2=1.横辺と縦辺の像はそれぞれ (12u,4u)(2v,6v) で、内積は0。
長さが等しい条件は410u=210v,すなわち v=2u である。よってu=145,v=125.

総評

難度6、計算量6。前半は単位円の式を変換前の座標で書き戻す係数比較、後半は長方形の辺ベクトルが移った後の長さと直交性を見る問題である。想定時間は28分程度。xy の項を消す条件から c=6 が出る点、長方形を (±u,±v) と対称に置ける点が方針の中心である。正方形条件では直交だけでなく辺の長さの一致まで確認する必要がある。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。

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出典: 九州大学 1990年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。