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九州大学 1992年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

2つのサイコロを同時に投げる試行を n 回行う。
出た目の和が整数 a 以下である事象を A とし、
その確率を p とする。ただし 2a12 とする。
n 回のうち A が起こる回数を X とし、
X=r となる確率を q(r) とする。

(1) X の期待値を n,p で表せ。

(2) p を整数 a で表せ。

(3) q(r+1)q(r)n,p,r で表せ。これを利用して、1r0n1 のとき
q(r)r=r0 で最大となるための必要十分条件がr0n+1<p<r0+1n+1であることを示せ。

(4) n=10 のとき、q(r)r=7 で最大となる整数 a を求めよ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安28

確率場合の数 二項定理、期待値、場合分け

方針

各試行で事象 A が起こるかどうかだけを見ると、X は成功確率 p の二項分布である。(2)では2つのサイコロの和が a 以下となる組数を、a7a7 に分けて数える。(3)は q(r+1)/q(r) と1を比較し、確率列が増加から減少に変わる位置を調べる。(4)は n=10,r0=7 の範囲に入る p を持つ整数 a を探す。

解答

(1)
1回の試行で事象 A が起こる確率は p である。n 回の試行は同じ条件で繰り返されるので、X は成功確率 p、試行回数 n の二項分布に従う。したがって期待値は E(X)=np である。

(2)
2つのサイコロの出方は全部で36通りである。

まず 2a7 のとき、和が 2,3,,a となる出方の数は 1+2++(a1)=a(a1)2 である。よって p=a(a1)72(2a7) である。

次に 7a12 のときは、和が a+1 以上となる出方を全体から引く。和が a+1,a+2,,12 となる出方の数は 1+2++(12a)=(12a)(13a)2 である。したがって p=1(12a)(13a)72(7a12) である。まとめるとp={a(a1)72,2a7,1(12a)(13a)72,7a12. a=7 ではどちらの式でも同じ値になる。

(3) X は二項分布なので q(r)=nCrpr(1p)nr である。したがってq(r+1)q(r)=nCr+1nCrp1p=nrr+1p1pである。 q(r)r=r0 で最大となるためには、r0 までは増加し、その次では減少に転じればよい。すなわち q(r0)q(r01)>1,q(r0+1)q(r0)<1 が必要十分である。上の比を用いると、前者は nr0+1r0p1p>1 であり、これは (n+1)p>r0 すなわち p>r0n+1 と同値である。後者は nr0r0+1p1p<1 であり、これは (n+1)p<r0+1 すなわち p<r0+1n+1 と同値である。

よって r0n+1<p<r0+1n+1 が必要十分である。

(4) n=10r0=7 とすると、(3)より必要十分条件は 711<p<811 である。

(2) の式から順に調べる。a=7 では p=7672=712<711 であり小さい。a=8 では、和が8以下となる出方は 1+2+3+4+5+6+5=26 通りなので p=2636=1318 である。これは 711<1318<811 を満たす。a=9 では p=3036=56>811 となり大きすぎる。したがって求める整数は a=8 である。

別解

解法2

方針

各回の成功を表す0・1変数の和として期待値を求める。最大項の条件は q(r0) と両隣だけを直接比較し、最後にサイコロの和の表で a を決める。

解答

(1)

j 回に A が起これば1、起こらなければ0となる数を Ij とする。X=I1++In.Ij の期待値は p だからE(X)=np.(2)

2個の目の和が a 以下となる組数を数えるとp={a(a1)72(2a7),1(12a)(13a)72(7a12).(3)q(r)=nCrpr(1p)nrだからq(r+1)q(r)=nrr+1p1p.r0 がただ1つの最大位置であるための条件はq(r0)>q(r01),q(r0)>q(r0+1).第1の不等式はnr0+1r0p1p>1    p>r0n+1,第2の不等式はnr0r0+1p1p<1    p<r0+1n+1.確率列の隣接比は r とともに減少するから、この2条件で全体の最大も保証される。

(4) 711<p<811.サイコロの和の累積確率はa789p712131856である。この範囲に入るのは 13/18 だけだからa=8.

総評

二項分布の最大項を、隣り合う確率の比で判定する問題である。目安時間は28分。(2)ではサイコロの和の分布が7を境に増加から減少へ変わるので、a7a7 を分けるのが自然である。(3)は q(r+1)/q(r) を出した後、r0 の直前で1より大きく、直後で1より小さいという形にする。端点が等号になると最大が並ぶため、問題の条件では不等号が厳密になる。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合した。高校数学の範囲内で完結させた。

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出典: 九州大学 1992年度 後期 理系 第5問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。