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九州大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第1問

xy平面において,最高次の係数が1の3次関数y=x3+ax2+bx+cのグラフCを考える.
そして,恒等変換ではない1次変換
{x=αx+βyy=γx+δyによるCの像は
Cに一致するとする.
このとき,次の問に答えよ.

(1) 3次関数の係数abc
および1次変換の係数αβγδ
それぞれどのようなものでなければならないか.

(2) 上記の3次関数がx=x0で極大値y0を持つ場合,
関数ごとに定まるxy平面の点(x0,y0)の全体はいかなる曲線上にあるか.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

行列関数微分 恒等式比較微分による最大最小軌跡

方針

曲線上の点を (x,x3+ax2+bx+c) とおき、変換後の座標が再び同じ3次関数のグラフ上を動く条件を係数比較に直す。まず xy が含まれると xx3 程度になり、グラフ条件の右辺が (x)3x9 程度になってしまうため β=0 と分かる。その後は x=αx として係数を比較し、恒等変換ではないことから α1 を使う。(2)は得られた関数 y=x3+bx の極大条件 b<0 を確認し、極大点を媒介変数で表して関係式を消去する。

解答

(1)

曲線 C 上の点は (x,y)=(x,x3+ax2+bx+c) と表される。変換後の第1座標は x=αx+βy=αx+β(x3+ax2+bx+c) である。

もし β0 なら、x が大きいとき xx3 程度の大きさになる。一方、第2座標 y=γx+δy は高くても x3 程度である。同じ3次関数のグラフ上にあるなら y=(x)3+a(x)2+bx+c を満たす必要があるが、右辺は (x)3 により x9 程度になってしまい、左辺と次数が合わない。したがって β=0 である。

このとき x=αx である。変換後の点全体が同じ曲線上を動くので、α=0 はありえない。また、恒等変換ではないため、あとで α=1 は除く。

曲線上の任意の x についてγx+δ(x3+ax2+bx+c)=(αx)3+a(αx)2+b(αx)+cが成り立つ。係数を比較すると δ=α3, aδ=aα2, γ+bδ=bα, cδ=c である。δ=α3 を代入すると aα3=aα2,cα3=c. α0α1 であるから a=0,c=0 を得る。また γ+bα3=bα より γ=bα(1α2) である。

したがって必要な形は y=x3+bx であり、変換は x=αx,y=bα(1α2)x+α3y である。ただし α0,α1 で、b は任意の実数である。

逆に、この形であれば y=x3+bx を満たす点に対して y=bα(1α2)x+α3(x3+bx)=α3x3+bαx であり、x=αx だから y=(x)3+bx となる。よってこの条件で十分でもある。

(2)

(1) より考える3次関数は y=x3+bx である。微分すると y=3x2+b であるから、極値をもつには b<0 が必要である。このとき 3x2+b=0 より x=±b3 である。y=6x なので、極大となるのは x0=b3 の方である。 s=b/3 とおくと s>0b=3s2x0=s である。このとき y0=(s)3+(3s2)(s)=s3+3s3=2s3. 一方、x0=s だから 2x03=2(s)3=2s3. したがって y0=2x03,x0<0 である。

よって、点 (x0,y0) 全体は曲線 y=2x3 のうち x<0 の部分上にある。

別解

解法2

方針

次数比較で x=αx を確定した後、3次曲線にただ一つある変曲点が変換で保たれることを使う。変曲点の x 座標と y 座標を順に比較して a=c=0 を幾何的に導き、残る係数と極大点の軌跡を求める。

解答

(1) F(x)=x3+ax2+bx+cとおく。曲線上の点は (x,F(x)) であるから、像の第一座標はx=αx+βF(x).β0 なら xx の3次式となり、F(x) は9次式となる。一方、第二座標y=γx+δF(x)は高々3次式なので一致できない。ゆえに β=0 である。

像が曲線全体に一致するため α0 である。また α=1 なら
x=x であり、曲線上で y=F(x)=y となるため恒等変換である。よって
α1 である。

曲線 C の変曲点はただ一つで、その x 座標はxi=a3である。変換は C を自身へ移すので、この変曲点も自身へ移る。一方
x=αx だからαxi=xi.α1 より xi=0、したがって a=0 である。

このとき変曲点は (0,c) である。最高次係数を比較すれば
δ=α3 なので、変曲点が固定される条件はα3c=c.実数 α について α3=1α=1 だけであるから、
c=0 となる。

残る係数は、曲線上で成り立つ恒等式γx+δF(x)=F(αx)x3,x の係数からδ=α3,γ+bα3=bα.したがってa=0,c=0,γ=bα(1α2),δ=α3,ただしbR,αR{0,1}.逆に、この条件ならy=bα(1α2)x+α3(x3+bx)=(αx)3+b(αx)となるので十分でもある。

(2)
曲線は y=x3+bx である。極大をもつには b<0 が必要で、3x02+b=0,x0<0.よって b=3x02 であり、y0=x03+bx0=2x03.したがって軌跡はy=2x3(x<0)である。

総評

曲線上の点を媒介変数 x で表し、変換後の次数を比較して β=0 を確定するのが出発点である。その後の係数比較では必要条件だけで終えず、得た変換が曲線を実際に保つことも確認する。極大点の軌跡には x<0 という範囲条件が必要である。

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出典: 九州大学 1994年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。