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九州大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

行列A=(1bcd)によって表される1次変換fは,3点O(0,0),P(2,0),Q(1,3)を頂点とする正三角形を面積4倍の正三角形に移すという.次の問に答えよ.

(1) 行列Aを求めよ.

(2) 原点を中心とし半径1の円の1次変換fによる像を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

行列図形と方程式 内積の利用図形的解釈、計算整理

方針

もとの正三角形は一辺 2 で、面積が4倍になる正三角形は一辺 4 である。P,Q の移った点を列ベクトルで表し、長さがともに 4、内積が 44cos60=8 になる条件を立てる。得られた4通りの行列について、列ベクトルの長さと直交を確認し、半径1の円が半径2の円に移ることを示す。

解答

(1)

もとの三角形 OPQ は一辺 2 の正三角形であるから、面積は 3 である。移った後の正三角形の面積はその4倍なので、一辺の長さは 22=4 である。 P(2,0)Q(1,3) がそれぞれ移る点を P,Q とすると P=(2,2c),Q=(1+3b,c+3d) である。O は原点に移るので、OPQ が一辺4の正三角形である条件は P=4,Q=4,PQ=8 である。

まず P=4 より 4+4c2=16 だから c2=3 である。次に内積条件より 2(1+3b)+2c(c+3d)=8 であり、c2=3 を用いると b+cd=0 となる。したがって b=cd である。

最後に Q=4 を使う。c=σ3 (σ=±1) とおくと、b=cd より Q2=(13σd)2+3(σ+d)2=4+12d2 である。これが 16 に等しいので d2=1 である。よって c=±3d=±1b=cd である。

したがって求める行列は(1331),(1331),(1331),(1331)の4通りである。

(2)

上で得たいずれの行列についても、2つの列ベクトルは長さ 2 で互いに直交する。実際 12+c2=4,b2+d2=4,b+cd=0 である。

したがって、任意の点 (x,y) に対して、移った点の原点からの距離の2乗は 4x2+4y2=4(x2+y2) になる。特に x2+y2=1 上の点は、原点からの距離が 2 の点に移る。よって求める図形は x2+y2=4 である。

別解

解法2

方針

グラム行列から ATA=4I を直接導き、列ベクトルの長さと直交性だけで4行列を列挙する。

解答

(1)
列ベクトルをu=(1c),v=(bd)とおく。もとの正三角形の2辺はOP=2e1,OQ=e1+3e2である。面積が4倍の正三角形では辺の長さが2倍になるから、これらの像の内積は、もとの内積の4倍である。2本の辺は一次独立なので、この条件はATA=4Iと同値である。

したがってu=v=2,uv=0.第1列から1+c2=4ゆえにc=±3.長さ2で u に直交するベクトルはv=ε(c1)(ε=±1)に限る。よってA=(1εccε)(c=±3, ε=±1).これを展開すると、解法1の4行列を得る。

(2) Ax2=xTATAx=4x2である。したがって x=1 の円周は、ちょうどx2+y2=4へ移る。逆に A は正則なので、半径2の円周上の点はすべて像として現れる。

総評

正三角形の条件を長さと内積に翻訳する行列問題。難度は標準上位で、目安時間は25分前後。面積4倍から一辺が2倍になること、PQ=8 と置くこと、最後に4通りを漏れなく出すことが得点の中心である。(2)では行列を一つずつ代入するのではなく、列ベクトルの長さと直交性から円の移り先を判断すると整理しやすい。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、場合分け、図示範囲、途中計算まで確認した。

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出典: 九州大学 1995年度 前期 文系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。