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九州大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験 確率・場合の数文系数学 第4問(c)

1からnまでの数字を書いた玉がそれぞれ2個ずつ,
全部で2n個入っている袋がある.
この袋から2個の玉を同時に取り出すことを考える.
取り出した玉の数字の大きい方をX,小さい方をYとする.
ただし同じ数字のときはその数字をXおよびY(すなわちX=Y)とする.

(1) 確率P(Xk)およびP(Yk) (k=1,2,,n)を求めよ.

(2) 確率P(X=k)およびP(Y=k) (k=1,2,,n)を求めよ.

(3) n=4のときXYの期待値E(XY)を求めよ.

(4) 一般のnについてX+Yの期待値E(X+Y)を求めよ.

難易度6/ 10計算量6/ 10目安30

確率場合の数 数え上げ、期待値、余事象

方針

最大値 X と最小値 Y は、直接 P(X=k) を数えるより、累積確率 P(Xk)P(Yk) を先に求めて差を取る方が安全である。期待値は、XY については n=4 の全組合せで差を合計し、X+Y については2個の玉の数字の和そのものの期待値として線形性を使う。

解答

(1)

全事象は、2n 個の玉から2個を選ぶので 2nC2 通りである。Xk とは、取り出した2個がどちらも 1,2,,k の数字をもつことである。そのような玉は 2k 個あるからP(Xk)=2kC22nC2=2k(2k1)2n(2n1).同様に、Yk とは、取り出した2個がどちらも k,k+1,,n の数字をもつことである。そのような玉は 2(nk+1) 個あるからP(Yk)=2(nk+1)C22nC2=2(nk+1){2(nk+1)1}2n(2n1).(2) P(X=k) は、Xk から Xk1 を引けばよい。ただし k=1 でも同じ式で読める。よって P(X=k)=2k(2k1)2(k1)(2k3)2n(2n1)=8k62n(2n1). また P(Y=k)=P(Yk)P(Yk+1) であるから P(Y=k)=2(nk+1){2(nk+1)1}2(nk){2(nk)1}2n(2n1) となり、整理して P(Y=k)=8(nk+1)62n(2n1) である。

(3) n=4 のとき、全事象は 8C2=28 通りである。同じ数字を2個取る場合は XY=0 である。異なる数字 i<j を取る場合、その組は玉の区別により4通りあり、差は ji である。したがって(XY)=41i<j4(ji).ここで 1i<j4(ji)=(1+2+3)+(1+2)+1=10 であるから(XY)=40である。よって E(XY)=4028=107 である。

(4)

取り出した2個の玉の数字を、順序を気にせずそのまま足すと X+Y である。したがって E(X+Y) は、2個の玉の数字の和の期待値に等しい。

袋全体の数字の平均は、各数字が2個ずつあるので 2(1+2++n)2n=n+12 である。2個同時に取り出しても、1個あたりの期待値はこの平均に等しいから E(X+Y)=2n+12=n+1 である。

別解

解法2

方針

累積分布を組合せで求め、確率質量は隣接する累積確率の差として出す。n=4 の期待値は尾和公式と X+Y の対称性で計算し、一般の和の期待値は線形性で処理する。

解答

全組合せ数は 2nC2=n(2n1) である。

(1)

Xk は数字 1,,k の計 2k 個から2個を選ぶ事象であり、Yk も同様に数字 k,,n2(nk+1) 個から選ぶ事象である。よってP(Xk)=k(2k1)n(2n1),P(Yk)=(nk+1)(2n2k+1)n(2n1).(2)

隣接する累積確率の差を取るとP(X=k)=P(Xk)P(Xk1)=4k3n(2n1),P(Y=k)=P(Yk)P(Yk+1)=4n4k+1n(2n1).(3)

n=4 のとき、数字を j5j と入れ替える対称性から E(X+Y)=5 である。また尾和公式よりE(X)=k=14P(Xk)=4j=13P(Xj)=41+6+1528=4514,E(XY)=2E(X)E(X+Y)=107.(4)

2個の玉の数字を U,V とすると、順序に関係なく X+Y=U+V である。1個の数字の平均は (n+1)/2 だからE(X+Y)=E(U)+E(V)=n+1.

総評

最大値・最小値の分布と期待値を扱う確率問題で、想定時間は30分程度。P(X=k) を直接数えると同じ数字を2個取る場合で混乱しやすいので、累積確率から差を取るのが堅い。(3)は全28通りを表にしてもよいが、異なる数字 i<j ごとに4通りあるとまとめると計算が短い。(4)は X+Y が取り出した2個の数字の和そのものだと見抜くと、分布計算をせずに期待値の線形性で終わる。

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出典: 九州大学 1998年度 前期 文系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。