方針
箱に入るかどうかを各コインごとの独立な事象として扱う。公平なコイン1枚が箱に入る確率は (1/2)2=1/4、歪んだコインが入る確率は (3/4)n である。P(X≧1) は余事象「どのコインも入らない」で求める。期待値と分散は、独立なベルヌーイ型確率変数の和として計算する。
解答
公平なコインのうち、i 番目のものが箱に入るとき1、入らないとき0をとる確率変数を Yi とする。また、歪んだコインについて同様の確率変数を Z とする。このとき X=Y1+Y2+⋯+Yn+Z である。公平なコイン1枚が箱に入る確率は (21)2=41 であり、歪んだコインが箱に入る確率は (43)n である。
(1) n=2 のとき、公平なコインは2枚であり、歪んだコインが箱に入る確率は (43)2=169 である。どのコインも箱に入らない確率は(1−41)2(1−169)=(43)2⋅167=25663である。したがって P(X≧1)=1−25663=256193 である。
期待値は和の期待値で計算できるので E(X)=2⋅41+169=1617 である。
(2)
一般の n について、どの公平なコインも入らない確率は (3/4)n である。また、歪んだコインが入らない確率は 1−(3/4)n である。よってP(X≧1)=1−(43)n{1−(43)n}である。 x=(43)n とおくと、求める条件は 1−x(1−x)>1613 すなわち x2−x+163>0 である。これは (x−41)(x−43)>0 と同値である。n≧1 では 0<x≦3/4 だから、厳密に不等式を満たすには x<41 が必要十分である。すなわち (43)n<41 である。(43)4=25681>41,(43)5=1024243<41なので、最小の n は 5 である。
(3)
期待値は E(X)=n⋅41+(43)n である。
分散については、独立な確率変数の和なので分散の和をとればよい。公平なコイン1枚に対応する Yi の分散は 41(1−41)=163 である。歪んだコインに対応する Z の分散は (43)n{1−(43)n} である。したがってV(X)=n⋅163+(43)n−(43)2nである。
別解
解法2(確率母関数)
方針
箱へ入る枚数の確率母関数を作る。
定数項から P(X=0)、1階・2階微分から期待値と分散を同時に読む。
解答
公平なコイン1枚が箱へ入る確率は 1/4 である。
歪んだコインが入る確率をp=(43)nとおく。独立性より X の確率母関数はG(s)=(43+41s)n(1−p+ps).(1)
n=2, p=9/16 のときP(X=0)=G(0)=(43)2167=25663.従ってP(X≧1)=256193,E(X)=G′(1)=1617.(2)P(X≧1)=1−p(1−p).これが 13/16 より大きい条件は(p−41)(p−43)>0.0<p≦3/4 なので p<1/4 が必要十分である。(43)4>41,(43)5<41より最小の n は 5 である。
(3)
母関数を微分するか、各ベルヌーイ変数の和としてE(X)=4n+(43)n,V(X)=163n+(43)n−(43)2n.
総評
難度は10段階中5、計算量は10段階中5。目安は18分。公平なコインと歪んだコインで「箱に入る確率」が違うので、まず各コインごとの0-1確率変数に分けると整理しやすい。少なくとも1枚は余事象で処理するのが最短である。(2)では不等号が厳密なので、(3/4)n=1/4 のような境界を含めない点に注意する。分散は独立性を明記してから足し合わせる。
冊子PDFで見る九大の確率の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 2000年度 前期 文系 第4問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。