方針
(1) は固定点方程式 f(a)=a を解く。(2) は f(x)−f(a)=−(x+a)(x−a) と因数分解し,x≧1/2 と a の値から x+a の下限を押さえる。(3) は (2) を反復して,x1=a なら ∣xn−a∣ が等比的に増大することを示す。一方で仮定より xn は閉区間 [1/2,1] に入って有界なので矛盾する。
解答
(1) f(a)=a より 1−a2=a である。すなわち a2+a−1=0. 解の公式より a=2−1±5. 正の実数解は a=25−1 である。
(2)
(1) の a は f(a)=a を満たす。したがってf(x)−f(a)=(1−x2)−(1−a2)=−(x2−a2)=−(x+a)(x−a).よって ∣f(x)−f(a)∣=(x+a)∣x−a∣ である。ここで x≧1/2 かつ a=25−1 だから x+a≧21+25−1=25. したがって ∣f(x)−f(a)∣≧25∣x−a∣ である。
(3)
仮に x1=a とする。仮定よりすべての n について xn≧1/2 であるから,(2) を x=xn に適用できる。xn+1=f(xn),また f(a)=a なので ∣xn+1−a∣=∣f(xn)−f(a)∣≧25∣xn−a∣. これを繰り返すと ∣xn−a∣≧(25)n−1∣x1−a∣. ここで 25>1 であり,∣x1−a∣>0 であるから,右辺は n が大きくなるといくらでも大きくなる。
一方,仮定よりすべての n で 21≦xn≦1 である。したがって ∣xn−a∣ は有界であり,上の不等式と矛盾する。よって仮定が誤りで,x1=a である。
別解
解法2
方針
不動点 a からの誤差 en=xn−a を直接追う。因数分解により ∣en+1∣=(xn+a)∣en∣ となるため、区間内に居続ける限り誤差が一定倍率以上で増えることを使って背理法で示す。
解答
(1) 1−a2=aの正根はa=25−1.(2)f(x)−f(a)=−(x+a)(x−a)なので、x≧1/2 なら∣f(x)−f(a)∣=(x+a)∣x−a∣≧25∣x−a∣.(3)
en=xn−a とおく。すべての xn が [1/2,1] にあるなら (2) より∣en+1∣≧25∣en∣.もし e1=0 なら∣en∣≧(25)n−1∣e1∣→∞.一方 xn,a∈[1/2,1] なら ∣en∣≦1/2 で矛盾。従って x1=a。
総評
固定点からの距離が反復で広がることを使う問題で,所要時間は10分程度。(2) の因数分解 f(x)−f(a)=−(x+a)(x−a) が全体の中心である。x+a の下限を出すとき,a=(5−1)/2 を代入して 5/2 が出る流れを省かないこと。(3) は「区間に閉じ込められるなら有界」と「倍率 5/2>1 で増えるなら非有界」を対比する背理法でまとめると明快である。 主解法と第2解法を別々に再計算し、条件範囲、端点、等号成立条件まで照合した。
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出典: 九州大学 1999年度 前期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。