Evolton

九州大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験 整数・数と式文系数学 第3問(a)

係数が0か1であるxの整式を,ここではM多項式とよぶことにする.
整数を係数とするxの整式は,偶数の係数を0でおきかえ,奇数の係数を1でおきかえるとM多項式になる.
2つの整式は,このおきかえによって等しくなるとき合同であるという.
例えば,5x2+4x+3x21とは対応するM多項式が共にx2+1となるので,合同である.

M多項式は,2つの1次以上のM多項式の積と合同になるとき可約であるといい,可約でないとき既約であるという.
例えば,x2+1(x+1)2と合同であるから,可約である.

(1) x2+x+1は既約なM多項式であることを示せ.

(2) 1次から3次までの既約なM多項式をすべて求めよ.

(3) x4+x+1は既約なM多項式かどうか判定せよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

整数数と式論証・証明 合同式、展開・因数分解、場合分け

方針

係数を2で割った余りだけを見る問題なので、実質的には係数が0か1の多項式を、係数の偶奇だけで計算する。2次が可約なら1次因数をもつため、x=0,1 を代入して判定できる。3次でも可約なら必ず1次因数をもつので同じ判定でよい。4次では1次因数の有無に加え、1次因数をもたずに可約となる場合、2次式どうしの積に限られることを使い、唯一の2次既約多項式 x2+x+1 の平方と比較する。

解答

以下では、係数を2で割った余りだけを考える。すなわち、係数の計算では 1+1=0 とみなしてよい。

(1) x2+x+1 が可約であるとすると、2次式であるから1次のM多項式を因数にもつ。1次のM多項式は x,x+1 だけである。

ところが、x=0 を代入すると 02+0+1=1 であり、x=1 を代入すると 12+1+1=1 である。したがって xx+1 も因数ではない。よって x2+x+1 は既約である。

(2)
1次のM多項式は x,x+1 であり、これらは1次以上の2つの多項式の積には分解できないので既約である。

2次のM多項式を調べる。定数項が0なら x を因数にもつので可約である。また x2+1=(x+1)2 で可約である。残る x2+x+1 は(1)より既約である。したがって2次の既約なものは x2+x+1 だけである。

3次のM多項式が可約なら、次数の分け方は1次と2次であるから、必ず1次因数をもつ。したがって x=0 または x=1 を代入して0になるものは可約であり、どちらでも0にならないものが既約である。定数項は1でなければならないので候補は x3+1,x3+x+1,x3+x2+1,x3+x2+x+1 である。このうち x3+1x3+x2+x+1x=1 で0になるので可約である。一方 x3+x+1,x3+x2+1x=0,1 のどちらを代入しても0にならない。よって既約である。

以上より、1次から3次までの既約なM多項式は x,x+1,x2+x+1,x3+x+1,x3+x2+1 である。

(3) F(x)=x4+x+1 とおく。まず F(0)=1,F(1)=1+1+1=1 であるから、F(x) は1次因数をもたない。

もし F(x) が可約なら、4次式で1次因数をもたないので、2次の既約M多項式どうしの積と合同でなければならない。2次の既約M多項式は x2+x+1 だけである。そこで (x2+x+1)2=x4+2x3+3x2+2x+1 を係数の偶奇で見ると (x2+x+1)2x4+x2+1 である。これは x4+x+1 と一致しない。

したがって x4+x+1 は可約ではない。すなわち既約なM多項式である。

別解

解法2(次数別の因子候補の全列挙)

方針

次数ごとに候補を列挙し、可約ならどの次数の因子が必要かを先に固定する。
1次因子は x, x+1 の2個しかない。4次で1次因子がなければ、
2次既約式どうしの積だけを調べればよい。

解答

係数の偶奇だけを計算する。

(1)
2次式が可約なら1次因子をもつ。1次M多項式は x, x+1 だけであるが、(x2+x+1)x=0=1,(x2+x+1)x=1=1なので、どちらも因子ではない。従って x2+x+1 は既約である。

(2)
1次式 x, x+1 は既約である。2次では定数項0の式は x を因子にもち、x2+1(x+1)2だから、既約なのは x2+x+1 だけである。

3次式が可約なら1次因子をもつ。定数項1の4候補を x=1 で調べると、x3+1,x3+x2+x+1は可約であり、x3+x+1,x3+x2+1x=0,1 のどちらでも0にならないので既約である。従って答はx,x+1,x2+x+1,x3+x+1,x3+x2+1である。

(3)
F(x)=x4+x+1F(0)=F(1)=1 なので1次因子をもたない。
可約なら2次既約式2個の積であるが、2次既約式は x2+x+1 だけである。(x2+x+1)2x4+x2+1x4+x+1.従って x4+x+1 は既約である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。目安は25分。係数の偶奇だけを見る、つまり2で割った余りの世界で因数分解を考える問題である。2次・3次では1次因数の有無を x=0,1 の代入で判定できる。4次では「1次因数がないなら、可約の場合は2次×2次に限られる」と言えるかが山場である。低次の候補を全部書き出す作業を省くと漏れやすいので、答案では候補の除外理由を明示したい。

冊子PDFで見る九大の整数の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2000年度 前期 文系 第3問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。