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九州大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験 数と式・論証・証明文系数学 第3問(b)

下記の各命題についてその真偽を記し,理由を述べよ.

(1) 7は無理数である.

(2) 和も積も共に0でない有理数であるような2つの実数abは,共に有理数である.

(3) 無理数は何乗かすると有理数になる.
ただし,ここで何乗かするというのは,nを1以上のある整数としてn乗することである.

(4) 和も積も共に有理数であるような2つの実数abに対して,
a5+b5は有理数である.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18

数と式論証・証明 背理法、反例構成、漸化式の変形

方針

各命題を真偽で分ける。真の命題は標準的な証明を与え、偽の命題は具体的な反例を示す。(1)は素因数7の偶奇で無理数性を示す。(2)は和と積が有理でも個々が無理になる共役型の例を出す。(3)は何乗しても無理数の例として 1+2 を使い、A+B2 の形が保たれ、B0 であることを示す。(4)は和 s=a+b、積 p=ab からべき和の漸化式を作る。

解答

(1)
真である。背理法で示す。もし 7 が有理数なら、互いに素な整数 p,q を用いて 7=pq と書ける。両辺を2乗して p2=7q2 である。よって p2 は7で割り切れるので、p も7で割り切れる。p=7p1 とおくと 49p12=7q2 より q2=7p12 となる。したがって q も7で割り切れる。これは p,q が互いに素であることに反する。よって 7 は無理数である。

(2)
偽である。反例を挙げればよい。 a=1+2,b=12 とする。このとき a,b はともに無理数であるが、a+b=2,ab=12=1 であり、和も積も0でない有理数である。したがって命題は偽である。

(3)
偽である。α=1+2 を考える。α は無理数である。任意の自然数 n について、αnαn=An+Bn2 の形に書け、しかも An,Bn は正の整数であることを示す。n=1 では A1=1B1=1 で成り立つ。αn=An+Bn2 と書けるなら αn+1=(An+Bn2)(1+2)=(An+2Bn)+(An+Bn)2 であり、係数はやはり正の整数である。よって帰納的に成り立つ。

特にすべての nBn>0 なので、αn は有理数ではない。したがって「無理数は何乗かすると有理数になる」という命題は偽である。

(4)
真である。s=a+bp=ab とおく。仮定より s,p は有理数である。べき和 un=an+bn を考える。a,b は2次方程式 t2st+p=0 の解であるから a2=sap,b2=sbp である。これに an2bn2 をそれぞれ掛けて足すと、n2un=sun1pun2 を得る。

初期値は u0=2,u1=s で、どちらも有理数である。漸化式の係数 s,p も有理数なので、帰納的にすべての un は有理数である。特に a5+b5=u5 は有理数である。

別解

解法2(反例とべき和の明示式)

方針

偽の命題には共役な無理数を反例として使う。
真のべき和命題は s=a+b, p=ab を用いて
a5+b5 を明示的な多項式に直す。

解答

(1) 真。もし 7=p/q を既約分数で表せるなら
p2=7q2 である。よって 7p、さらに 7q となり、
既約性に反する。

(2) 偽。例えばa=1+2,b=12はともに無理数だが、a+b=2, ab=1 である。

(3) 偽。α=1+2 とする。αn=An+Bn2と書くとAn+1=An+2Bn,Bn+1=An+Bn.A1=B1=1 だから、すべての n1Bn>0 である。
従って αn は一度も有理数にならない。

(4) 真。s=a+b, p=ab とすると、恒等式の展開からa5+b5=s55ps3+5p2s.s,p は有理数なので、右辺も有理数である。

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中4。目安は18分。真偽判定では、偽の命題に反例を1つ出せば十分である。(2)は共役な形、(3)は 1+2 の累乗がずっと無理数であることを使うと簡潔に処理できる。(4)は和と積が有理なら、べき和が漸化式で閉じることが核心である。命題ごとに「真」「偽」を先に書くと答案が読みやすい。

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出典: 九州大学 2000年度 前期 文系 第3問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。