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九州大学 2022年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

nを3以上の自然数,α,βを相異なる実数とするとき,以下の問いに答えよ。

(1) 次をみたす実数A,B,Cと整式Q(x)が存在することを示せ。xn=(xα)(xβ)2Q(x)+A(xα)(xβ)+B(xα)+C(2) (1)のA,B,Cn,α,βを用いて表せ。

(3) (2)のAについて,nαを固定して,βαに近づけたときの
極限limβαAを求めよ。

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

数と式微分 恒等式比較文字消去極限計算

方針

(xα)(xβ)2 で割った余りは2次以下であり,1xα(xα)(xβ) を基準にすれば問題の形に表せる。係数 A,B,C は,x=αx=β の値を比較し,さらに x=β が2重に現れることを利用して両辺を微分してから x=β を代入すると決まる。最後の極限は β=α+h とおき,2次の項まで二項定理で展開すればよい。別解として,βnαn の因数分解を使って極限を和の形で処理することもできる。

解答

(1)

整式 xn(xα)(xβ)2 で割ると,商を Q(x),余りを R(x) として xn=(xα)(xβ)2Q(x)+R(x) と表せる。ただし R(x) は2次以下の整式である。

ここで A(xα)(xβ)+B(xα)+C も2次以下の整式である。αβ なので,A,B,C を適当に選べば任意の2次以下の余りをこの形で表せる。例えば最高次係数を A で合わせ,次に1次係数を B で合わせ,最後に定数項を C で合わせればよい。したがって条件を満たす実数 A,B,C と整式 Q(x) が存在する。

(2)

(1) の等式に x=α を代入すると,xα を含む項はすべて消えるので C=αn である。

次に x=β を代入すると,(xβ) を含む項は消え,βn=B(βα)+C となる。よって B=βnαnβα である。

さらに両辺を x で微分する。(xα)(xβ)2Q(x) の微分は,x=β を代入すると各項に (xβ) が残るため 0 になる。また {A(xα)(xβ)}=A{(xβ)+(xα)} であるから,x=β では A(βα) となる。したがって nβn1=A(βα)+B である。これに B の値を代入してA=nβn1βαβnαn(βα)2=nβn1(βα)(βnαn)(βα)2を得る。

(3) β=α+h とおく。h0βα に対応する。二項定理より,ある整式 P(h),Q(h) を用いて(α+h)n=αn+nαn1h+n(n1)2αn2h2+h3P(h)また n(α+h)n1h=nαn1h+n(n1)αn2h2+h3Q(h) と表せる。したがって (2) の A の分子は,ある整式 R(h) を用いて{n(n1)n(n1)2}αn2h2+h3R(h)=n(n1)2αn2h2+h3R(h)である。分母は h2 だから,h0 とすると hR(h)0 であり limβαA=n(n1)2αn2 である。

別解

解法2(差の冪の因数分解)

方針

(1) (2) は2次以下の余りを問題の基底で表し,x=αx=β,微分後の x=β の3条件で決める。(3) では二項展開を使わず,βjαj の因数分解を有限和に直す。各項の極限を直接取ることで,1次項の相殺を式の差として処理する。

解答

(1)
xn(xα)(xβ)2 で割った余りを R(x) とすると degR2 である。3つの整式(xα)(xβ),xα,1は2次以下の整式全体の基底になる。実際,最高次係数,1次係数,定数項の順に係数を合わせられる。よってR(x)=A(xα)(xβ)+B(xα)+Cと一意に表せ,所要の A,B,C,Q(x) が存在する。

(2)
x=α を代入してC=αn.x=β を代入してβn=B(βα)+C,B=βnαnβα.さらに両辺を微分して x=β を代入するとnβn1=A(βα)+B.したがってA=nβn1βαβnαn(βα)2=nβn1(βα)(βnαn)(βα)2.(3)
差の冪の因数分解からβnαnβα=j=0n1βn1jαj.よってA=nβn1j=0n1βn1jαjβα=j=1n1βn1jβjαjβα.さらにβjαjβα=k=0j1βj1kαkjαj1(βα).したがって各項は jαn2 に近づき,limβαA=j=1n1jαn2=n(n1)2αn2.

総評

公開問題PDFと原典TeXを照合済み。二重因子 xβ のため,値だけでなく微分値も余りを決める条件になる。x=αx=β,微分後に x=β の順で代入すると混乱しにくい。極限は解法1の二項展開と,解法2の差の冪の有限和で相互確認できる。想定時間は25分程度で,分子の1次項が消え2次項が残ることを答案上で明示する。

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出典: 九州大学 2022年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。