方針
曲線 y=xp は単調に上がるので、各水平帯 j<y<j+1 を1回ずつ通る。このため境界曲線に交わる単位正方形の個数が n 個に抑えられ、面積 Sn と完全に含まれる単位正方形数 Mn の差を評価できる。最後は格子点数 Ln も面積との差が高々 n の定数倍であることを示し、主項 n(p+1)/p で割って極限を取る。
解答
(1)
曲線 y=xp は x≧0 で単調に増加する。0≦y≦n を j≦y≦j+1(j=0,1,…,n−1) という n 個の水平な帯に分けると、曲線は各帯をちょうど1回ずつ通る。
各帯の中で、曲線が通る単位正方形は1個だけである。したがって、グラフ y=xp と交わる単位正方形の個数は n である。
(2) Dn に完全に含まれる単位正方形の面積の合計は Mn である。一方、Dn と単位正方形のずれは、境界の曲線 y=xp と交わる単位正方形の部分だけで起こる。(1) よりその個数は n 個であり、各単位正方形の面積は1である。したがって Mn<Sn<Mn+n である。
また、Dn の面積はSn=∫0n1/p(n−xp)dx=[nx−p+1xp+1]0n1/p=n⋅n1/p−p+1n(p+1)/p=p+1pn(p+1)/p.(3)
格子点数 Ln と面積 Sn の差も、境界付近の点の個数で評価できる。実際、各格子点を左下隅にもつ単位正方形と対応させると、完全に Dn に入る正方形から来る点を除いた残りは、曲線付近または座標軸・上辺付近に限られる。これらの個数は n の定数倍で抑えられるので ∣Ln−Sn∣≦Cn となる定数 C が存在する。
したがってn−(p+1)/pLn−n−(p+1)/pSn≦Cn−1/pであり、右辺は n→∞ で0に近づく。よってn→∞limn−(p+1)/pLn=n→∞limn−(p+1)/pSn=p+1p.
別解
解法2(床関数とリーマン和)
方針
水平線 y=j ごとに格子点数を正確に数え、床関数を外した上下評価を作る。主項はリーマン和として求める。
解答
(1)
i<y<i+1 にある曲線部分ではi1/p<x<(i+1)1/p.この区間内に整数 k があれば i<kp<i+1 となって不可能である。したがって
曲線は各水平帯でただ1個の単位正方形の内部を通る。帯は i=0,…,n−1 の
n 個なので、交わる単位正方形は n 個である。
(2)
各水平帯で、完全に含まれる正方形の面積と領域の面積との差は0より大きく1より小さい。
全帯で足せばMn<Sn<Mn+n.またSn=∫0ny1/pdy=p+1pn(p+1)/p.(3)
高さ y=j 上の格子点は(0,j),(1,j),…,(⌊j1/p⌋,j)なのでLn=j=0∑n(⌊j1/p⌋+1).j1/p−1<⌊j1/p⌋≦j1/pを使うと、定数項は尺度 n1+1/p で割った後に消える。一方n−(p+1)/pj=0∑nj1/p=n1j=0∑n(nj)1/p⟶∫01x1/pdx=p+1p.はさみうちにより求める極限はp+1p.
総評
難度7、計算量6。目安時間は18〜24分。採点ポイントは、曲線が各水平帯を1つずつ通ることから境界に触れる単位正方形を n 個と数えること、面積と単位正方形数の差をその n 個で評価すること、最後に誤差 O(n) が主項 n(p+1)/p より小さいことを使うことです。
誤りやすいのは、格子点数 Ln と面積 Sn を完全に同じものとして扱うことです。実際には境界付近の誤差がありますが、その誤差は極限では消えます。厳密な個数を最後まで求める問題ではなく、面積を主項として誤差を評価する問題だと捉えると整理しやすいです。
冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 2003年度 前期 理系 第3問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。