Evolton

九州大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験 数列・指数・対数理系数学 第5問(c)

nを2以上の自然数とする.
数列{Sn}Sk=1+12+13++1kで与えられている.

(1) 不等式log(n+1)<Sn<1+lognが成り立つことを示せ.

(2) 一般に数列{ck}に対して,
Δck=ck+1ck(k=1,2,)とおく.
数列{an}{bn}に対して,k=1n1akΔbk=anbna1b1k=1n1bk+1Δakが成り立つことを示せ.
また,k=1n1kSk=(Sn12)p(n)となるnの整式p(n)を求めよ.

(3) 不等式2n(n1)k=1n1kSklogn<12が成り立つことを示せ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

数列指数・対数論証・証明 不等式評価和の計算、部分分数分解

方針

(1)1/x のグラフと長方形の面積を比較して調和和を上下から評価する。(2) は積の階差 Δ(akbk) を展開して和を取る。後半はこの公式に ak=kbk=Sk を入れ、ΔSk=1/(k+1) を使って p(n) を求める。(3) は (2) の式で左辺を Sn1/2 に直し、(1) の評価を使う。

解答

(1)
関数 1/xx>0 で減少する。したがって各 k=1,2,,n についてkk+1dxx<1kであり、これを足すとlog(n+1)=1n+1dxx<Snを得る。

また k=2,3,,n について1k<k1kdxxである。よってSn=1+k=2n1k<1+1ndxx=1+lognである。したがって log(n+1)<Sn<1+logn である。

(2) Δ(akbk)=ak+1bk+1akbk である。右辺を変形するとΔ(akbk)=ak(bk+1bk)+bk+1(ak+1ak)=akΔbk+bk+1Δak.したがって akΔbk=Δ(akbk)bk+1Δak である。これを k=1 から n1 まで足すとk=1n1akΔbk=anbna1b1k=1n1bk+1Δakを得る。

次に ak=kbk=Sk とする。このとき ΔSk=Sk+1Sk=1k+1,Δak=1 である。公式よりk=1n1k1k+1=nSnS1k=1n1Sk+1.これを直接使って整理してもよいが、求めたい和は次のように順序を入れ替えると速い。k=1n1kSk=k=1n1kj=1k1j=j=1n11jk=jn1k=j=1n11j{n(n1)2j(j1)2}=n(n1)2Sn112j=1n1(j1).ここでSn1=Sn1n,j=1n1(j1)=(n1)(n2)2だからk=1n1kSk=n(n1)2(Sn1n)(n1)(n2)4=n(n1)2Snn12(n1)(n2)4=n(n1)2Snn(n1)4=(Sn12)n(n1)2.したがって p(n)=n(n1)2 である。

(3)
(2) より2n(n1)k=1n1kSk=Sn12である。したがって示すべき不等式は Sn12logn<12 である。

(1) より log(n+1)<Sn<1+logn だから log(n+1)logn12<Sn12logn<12 である。右側はすでに示されている。左側については log(n+1)logn=log(1+1n)>0 なので log(n+1)logn12>12 である。よって 12<Sn12logn<12 であり、2n(n1)k=1n1kSklogn<12が成り立つ。

別解

解法2(設問の部分和公式を直接使用)

方針

(1) は面積比較で示す。(2) 後半は証明した和の部分積分公式へ ak=SkΔbk=k を代入して一度で求める。

解答

(1)
1/x の単調減少性からkk+1dxx<1k,1k<k1kdxx(k2).和を取ればlog(n+1)<Sn<1+logn.(2)akΔbk+bk+1Δak=ak+1bk+1akbkk=1,,n1 で足せば、設問の公式を得る。

この公式にak=Sk,Δbk=kを用いる。Δak=1k+1 であり、bk=k(k1)2と取れるのでk=1n1kSk=Snn(n1)2k=1n1k(k+1)21k+1=n(n1)2Sn12k=1n1k=(Sn12)n(n1)2.よってp(n)=n(n1)2.(3)2n(n1)k=1n1kSklogn=Snlogn12.(1) よりこの値は 12 より大きく 12 より小さいので、所要の
絶対値不等式が従う。

総評

難度7、計算量7。目安時間は20〜26分。採点ポイントは、(1) の積分比較を正しい向きで書くこと、(2) の和の部分積分公式を階差から導くこと、kSk(Sn1/2)n(n1)/2 まで整理することです。

誤りやすいのは、Sn1=Sn1/n の変換を忘れて、答えが Sn1 のまま残ることです。(3) は (2) の結果を使えばほぼ Snlogn の比較だけになります。絶対値不等式は上下を別々に確認すると安全です。

冊子PDFで見る九大の数列の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2003年度 前期 理系 第5問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。