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九州大学 2006年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

行列A=(156610)について,以下の問いに答えよ.

(1) 方程式{15x+6y=λx6x+10y=λyx=y=0以外の解をもつときのλの値を2つ求めよ.

(2) (1)で求めたλの2つの値をαβ (α>β)とするとき,AT=T(α00β)を満たし,逆行列をもつ行列Tを1つ求め,その逆行列T1を求めよ.

(3) Anを求めよ.

(4) (xy)
(00)でない列ベクトルとし,(x1y1)=(xy),(xn+1yn+1)=A(xnyn)(n=1,2,)とする.このとき,limnynxnを求めよ.ただし,xn0 (n=1,2,)と仮定する.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

行列数列 計算整理、漸化式の変形極限計算

方針

(1) は零でない解を持つための消去条件から λ を求める。(2)ではそれぞれの λ に対応する列ベクトルを1つずつ選び,それを並べて T を作る。(3)は AT=TD から An=TDnT1 として計算する。(4)は初期ベクトルを2つの方向に分け,成長の速い 19n1 の成分があるかどうかで極限を場合分けする。

解答

(1)
連立方程式は{(15λ)x+6y=0,6x+(10λ)y=0である。(x,y)=(0,0) 以外の解を持つためには,2式の係数が作る行列について (15λ)(10λ)36=0 であればよい。整理すると λ225λ+114=0 であり,(λ19)(λ6)=0 である。よって λ=19, 6 である。

(2) 19 に対応する列を求める。λ=19 のとき 4x+6y=0 より,例えば(32)を取れる。λ=6 のとき 9x+6y=0 より,例えば(23)を取れる。したがってT=(3223)とおけばAT=T(19006)である。また T の行列式は 33(2)2=13 だから逆行列をもち,T1=113(3223)である。

(3)
(2)よりA=T(19006)T1であるからAn=T(19n006n)T1である。計算するとAn=113(919n+46n619n66n619n66n419n+96n)である。

(4)
任意の列ベクトルは(xy)=u(32)+v(23)と一意に表せる。実際,(uv)=T1(xy)=113(3x+2y2x+3y)である。

このとき(xnyn)=u19n1(32)+v6n1(23)である。u0 の場合,分子分母を 19n1 で割るとynxn=2u+3v(619)n13u2v(619)n12u3u=23である。u=0 の場合,初期ベクトルは (2,3) の方向であり,すべての n(xnyn)=v6n1(23)となる。したがって ynxn=32 である。u=03x+2y=0 と同値であるから,求める極限は{23(3x+2y0),32(3x+2y=0)である。問題文の仮定 xn0 は,この場合分けのどちらにも矛盾しない。

総評

誘導に沿って行列を分解し,最後に成長の速い方向を見る問題である。目安は30分程度。(2)では2つの列ベクトルを並べる順番を 19,6 の順に合わせること。(4)では初期ベクトルに 19 側の成分がない場合,極限が 23 ではなく 32 になる。仮定 xn0 だけではこの場合は除外されないので,場合分けを明示するのが正確である。

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出典: 九州大学 2006年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。