方針
(1) は与式を P(E+tJ)=E−tJ と整理し、J2=−E を使って E+tJ の逆を求める。
(2) は t=tan2θ を代入し、半角公式 1+t21−t2=cosθ、1+t22t=sinθ により P を三角関数で表す。
(3) は (2) の行列が角 θ の回転を表すことを、加法定理に対応する積の形で確認し、3回の合成が恒等変換になる角を求める。
解答
(1)
与えられた式 t(PJ+J)+P−E=O を整理すると P+tPJ=E−tJ である。すなわち P(E+tJ)=E−tJ である。
ここでJ2=(0−110)2=−Eであるから、(E+tJ)(E−tJ)=E−t2J2=(1+t2)E である。したがって (E+tJ)−1=1+t2E−tJ であり、P=(E−tJ)(E+tJ)−1=1+t2(E−tJ)2 となる。さらに (E−tJ)2=E−2tJ+t2J2=(1−t2)E−2tJ なので、P=1+t21−t2E−1+t22tJ である。行列で書けばP=1+t21−t21+t22t−1+t22t1+t21−t2である。
(2) t=tan2θ とする。半角公式より 1+t21−t2=cosθ,1+t22t=sinθ である。したがって (1) の結果から P=cosθE−sinθJ であり、行列表示はP=(cosθsinθ−sinθcosθ)である。
(3)
(2) の形の行列をR(θ)=(cosθsinθ−sinθcosθ)と書く。加法定理を用いて行列の積を計算すると R(α)R(β)=R(α+β) である。したがって P3=R(θ)3=R(3θ) である。 P3=E となるには R(3θ)=E であればよい。これは cos3θ=1,sin3θ=0 すなわち 3θ=2mπ(m は整数) を意味する。条件 0<θ<π より 0<3θ<3π であるから、この範囲にある 2mπ は 2π だけである。よって 3θ=2π となり、θ=32π である。
総評
行列計算と三角関数の半角公式を結びつける問題で、目安時間は18分程度。最初に P(E+tJ)=E−tJ と因数分解できるかが勝負で、J2=−E を使えば逆行列計算は短い。(2) では符号を間違えると回転の向きが逆になるため、行列成分まで書いて確認する。(3) は加法定理により行列の積が角の和に対応することを示せばよく、0<θ<π から 3θ=2π のみが残る。
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出典: 九州大学 2005年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。