Evolton

九州大学 2008年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

行列BEAをそれぞれB=(1224)
E=(1001)A=E+aBと定める。
ここでaは実数とする。このとき以下の問いに答えよ。

(1) P=(xy)P=APを満たすとき,
xyが満たすべき条件を求めよ。

(2) 行列Aの表す移動が原点を通る直線に関する対称移動であるようなaの値と,
その直線を求めよ。

(3) An=E+unBを満たす実数unanを用いて表せ。
ただしnは自然数とする。

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

行列 恒等式比較漸化式の変形、計算整理

方針

まず B2=5B を直接計算しておく。B は直線 x=2y 方向を0倍し,その垂直方向 (1,2) を5倍するので,A=E+aB はそれぞれを1倍,1+5a 倍する変換になる。対称移動の条件は固定直線上をそのままにし,垂直方向を 1 倍することであり,AnB2=5B から係数の漸化式で求める。

解答

(1) P=APP=(E+aB)P すなわち aBP=0 と同値である。a=0 のときは A=E なので任意の x,y が条件を満たす。 a0 のときは BP=0 である。成分で書くと(1224)(xy)=(x2y2x+4y)=(00)だから x=2y である。

(2)

(1) より,a0 のとき直線 x=2y 上の点は A によって動かない。またB(12)=(510)=5(12)であるから,直線 x=2y に垂直な方向 (1,2)A=E+aB により 1+5a 倍される。

原点を通る直線に関する対称移動では,その直線上の成分はそのまま,垂直方向の成分は符号が反対になる。したがって 1+5a=1 でなければならない。よって a=25 であり,対称軸は x=2y である。

(3)

まずB2=(1224)2=(5101020)=5Bである。An=E+unB とおくと,u1=a であり,An+1=(E+unB)(E+aB)=E+(a+un+5aun)B だから un+1=a+un+5aun である。この式は 1+5un+1=(1+5a)(1+5un) と変形できる。1+5u1=1+5a より 1+5un=(1+5a)n となるので un=(1+5a)n15 である。

青い直線上は固定され,垂直方向の成分だけが符号反転する。

別解

解法2

方針

B をベクトル (1,2)T への正射影の5倍と見る。互いに直交する2方向への射影行列で A を分解すると,固定点・鏡映条件・累乗が同時に読み取れる。

解答

(1) v=(1,2)T とするとB=vvTである。したがってH=15Bv 方向への正射影を表し,K=EH はそれに垂直な直線 x=2y への正射影を表す。よってA=E+aB=K+(1+5a)H.a=0 なら A=E なので全ての x,yP=AP を満たす。a0 なら固定されるのは HP=0,すなわちvTP=x2y=0を満たす点だけである。

(2) K 方向は常に1倍され,H 方向は 1+5a 倍される。直線 x=2y に関する対称移動となるための条件は1+5a=1.したがってa=25,対称軸は x=2yである。

(3) H2=HK2=KHK=KH=O だからAn={K+(1+5a)H}n=K+(1+5a)nH=E+(1+5a)n15B.よってun=(1+5a)n15である。

総評

難度5,計算量5。鍵は B2=5B と,x=2y 方向・それに垂直な方向で倍率が分かれることにある。(1)では a=0 の場合だけ条件が全平面に広がるので,場合分けを省かないこと。(2)は固定直線と垂直方向の 1 倍を確認すればよく,(3)は 1+5un に直して等比数列として処理する。行列計算の量は多くないため,10分前後で確実にまとめたい。

冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2008年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。