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九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験(数学理系)理系(後期)数学 第2問

abは実数(ただし,b0)で,
A=(a3b3ba+2b)とする.
また,数列{αn}{βn} (n=1,2,3,)を次式により定める.(α1β1)=(αβ),(αn+1βn+1)=A(αnβn)以下の問いに答えよ.

(1) 次の関係式を満たす実数pqvwを求めよ.A(1v)=p(1v),A(1w)=q(1w)ただし,pqv<wとする.

(2) (1)で求めたvwから,行列Pを次のように定める.P=(11vw)このとき,行列B=P1APを求めよ.

(3) (2)で定めたPを用いて,数列{sn}{tn} (n=1,2,3,)
次式より定める.(sntn)=P1(αnβn)α0β0のとき,無限級数n=1sn
n=1tnがともに収束するためのabが満たすべき条件を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安28

行列数列 恒等式比較漸化式の変形必要十分条件

方針

(1) は指定された形(1,r)TをAに掛け,第一成分を固有倍率として第二成分と比較する.b0なのでrの二次方程式に落ちる.(2)はPの列が(1)の2方向なので,P1APは対角行列になる.(3)では(sn,tn)T=P1(αn,βn)Tに移すと,それぞれ公比aba+3bの等比数列になる.初期成分が0になる例外を含めて,等比級数の収束条件を必要十分に書く.

解答

(1)

実数rに対してA(1r)=(a+3br3b+(a+2b)r)である.これがλ(1,r)Tに等しいとすると,第一成分から λ=a+3br である.第二成分について 3b+(a+2b)r=(a+3br)r が必要である.両辺のarを消し,b0で割ると 3+2r=3r2 である.すなわち 3r22r3=0 であり,解は r=13,r=3 である.条件v<wより v=13,w=3 である.

対応する倍率は p=a+3bv=ab,q=a+3bw=a+3b である.b0よりpqも満たされる.したがって p=ab,q=a+3b である.

(2)

(1) で求めたv,wを用いるとP=(11133)である.Pの第1列はAによってp=ab倍され,第2列はq=a+3b倍される.したがってAP=P(ab00a+3b)である.両辺に左からP1を掛ければB=P1AP=(ab00a+3b)である.

(3)

まず初期値をs1,t1で表す.Pの逆行列はP1=34(31131)=(34341434)である.したがって(s1t1)=P1(αβ)=(3α3β4α+3β4)である.

また,(2)より(sn+1tn+1)=P1A(αnβn)=P1AP(sntn)=B(sntn)である.よって sn+1=(ab)sn,tn+1=(a+3b)tn となり,sn=(ab)n1s1,tn=(a+3b)n1t1 である.

sn は初項 s1=0 なら恒等的に0であり,s10 なら公比について ab<1 のとき,かつそのときに限って収束する.同様に,tnt1=0 または a+3b<1 のとき,かつそのときに限って収束する.

ここでs1=0    β=3α,t1=0    β=α3.α0, β0 のもとでこの2条件が同時に成り立つことはない.したがって,求める必要十分条件は次の通りである.{a+3b<1,β=3α のとき,ab<1,β=α3 のとき,ab<1 かつ a+3b<1,上のいずれでもないとき.すなわち,一般形では(s1=0 または ab<1)かつ(t1=0 または a+3b<1)である.初期ベクトルが一方の固有方向に一致するときだけ,使われない方の固有値には制約が付かない点に注意する.

総評

難度7,計算量6,目安時間28分.固有ベクトルを列に並べたPでAを対角化すると,sn,tn は公比 ab,a+3b の幾何数列になる.収束条件は初期成分が0かどうかで変わるため,β=3αβ=α/3,その他の3場合を明示した.「両固有値の絶対値が1未満」だけでは特殊な初期ベクトルを落とすので不十分である.

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出典: 九州大学 2009年度 後期 理系(後期) 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。