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九州大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系)理系数学 第4問

2次の列ベクトルXYZは大きさが1であり,
X=(10)かつYXとする.
ただし,一般に2次の列ベクトル(xy)の大きさは
x2+y2で定義される.
また,2次の正方行列AAX=YAY=ZAZ=Xをみたすとする.
このとき,次の問いに答えよ.

(1) YXを示せ.

(2) ZZ=sX+tY (stは実数) の形にただ一通りに表せることを示せ.

(3) X+Y+Z=(00)を示せ.

(4) 行列Aを求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安25

行列ベクトル ベクトル成分計算恒等式比較必要十分条件

方針

XとYが同一直線上にないことを示し,平面の基底として使う.(2)でZ=sX+tYと置けるので,Aを作用させるとAZ=sY+tZになる.これをXと比較し,係数比較からs=t=1を得る.するとX+Y+Z=0が従い,さらにZ=1からXY=1/2を得る.最後はX=(1,0)TなのでYの2候補を出し,Aの第1列・第2列を決める.

解答

(1)

もしY=Xであると仮定する.このときAX=Y=Xである.すると AY=A(X)=AX=X となるので,条件AY=ZよりZ=Xである.さらにAZ=Xである一方,Z=Xだから AZ=AX=Y となる.よってX=Yが従うが,これはY=XおよびX0に反する.したがって YX である.

(2)

問題文よりYXであり,(1)よりYXである.XとYはいずれも大きさ1の2次元ベクトルである.もしXとYが同じ直線上にあれば,単位ベクトルであることからY=XまたはY=Xしかない.しかしどちらも成り立たない.したがってXとYは平行でない.

2次元平面で平行でない2本のベクトルは基底になるので,任意の2次元ベクトルはXとYの一次結合としてただ一通りに表される.特にZについて,実数s,tがただ一組存在して Z=sX+tY と表せる.

(3)

(2) により Z=sX+tY とおく.両辺にAを作用させると AZ=sAX+tAY=sY+tZ である.さらにZ=sX+tYを代入すると AZ=sY+t(sX+tY)=tsX+(s+t2)Y である.一方,条件よりAZ=Xである.XとYは平行でないので係数比較ができ,ts=1,s+t2=0 を得る.第2式よりs=t2であり,第1式に代入すると t(t2)=1,t3=1,t=1 である.したがってs=1である.よって Z=XY であり,X+Y+Z=(00)が成り立つ.

(4)

(3) よりZ=XYである.Zの大きさは1なので X+Y2=Z2=1 である.左辺を内積で展開すると X+Y2=X2+2XY+Y2=1+2XY+1 である.したがって 2+2XY=1,XY=12 である.

ここでX=(1,0)Tなので,Y=(u,v)Tとおくと XY=u=12 である.またY=1より u2+v2=1 だから v2=114=34 である.よってY=(1232)またはY=(1232)である.

行列Aの第1列はAX=YによりYである.さらにAはYZ=XYに移す.これは,XからYへ,YからZへ,ZからXへ移す120度回転である.具体的に計算すると,Y=(1/2,3/2)TのときA=(12323212)である.またY=(1/2,3/2)TのときA=(12323212)である.したがって求める行列は(12323212),(12323212)である.

3本の単位ベクトルの配置

別解

別解((4)の120度回転)

方針

(3) で得た X+Y+Z=0X=Y=Z=1 を幾何的に読む.3本のベクトルは互いに120度ずつ離れるので,Aは時計回りまたは反時計回りの120度回転行列である.

解答

(1)

解法1と同様に,Y=X と仮定すると Z=X となり,さらに AZ=XAX=Y が矛盾する.よって YX である.

(2)

X=Y=1Y±X だから,XとYは平行でなく,平面の基底になる.したがってZは Z=sX+tY とただ一通りに表せる.

(3)

両辺へAを作用させ,AZ=X, AX=Y, AY=Z を使って係数比較すると s=t=1 である.よってX+Y+Z=0.(4)

(3) よりX+Y+Z=0,X=Y=Z=1である.したがってX+Y2=Z2=1であり,2+2XY=1,XY=12.よってXとYのなす角は 120 である.同じ議論をYとZ,ZとXにも適用できるため,3本は原点の周りに 120 ずつ並ぶ.

X=(1,0)T だから,YはXを反時計回りまたは時計回りに 120 回転したベクトルである.また AX=Y, AY=Z, AZ=X より,A自身が同じ向きの 120 回転を表す.したがってA=(cos120sin120sin120cos120)または(cos120sin120sin120cos120).ゆえにA=(12323212)または(12323212).

総評

難度6,計算量5,目安時間25分.(1)(2)でXとYが平面の基底になることを保証し,(3)では係数比較から Z=XY を導く.(4)は成分計算と120度回転の2解法を収録した.問題原文の「X+Y+X=0」は文脈上の誤植であり,参照問題PDFに従って「X+Y+Z=0」としている.単位円の実図により3本の配置と回転方向も確認できる.

冊子PDFで見る九大の行列の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2009年度 前期 理系 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。