方針
Aの表の枚数を として、Aの得点、場合の数、負けたときに残る金額をまとめる。Bは2枚の硬貨の表裏4通りについて、得点と裏硬貨の金額を表にする。勝敗数はこの2つの表の組み合わせで数える。期待値は、各場合でゲーム終了後にAが持つ金額を計算して全32通りで平均する。別解として、Aが勝てばBの裏硬貨を得て、Aが負ければAの裏硬貨を失う、という増減額で期待値を検算する。
解答
(1)
Aさんの表の枚数を とすると、Aさんの表金額は 円であり、そのような出方は 通りである。したがって Aさん側はである。
Bさんは5円硬貨と10円硬貨を1枚ずつ持っているので、表金額は の4通りであり、それぞれ1通りずつ起こる。全体の場合の数は 通りである。
Aさんが勝つ場合を数える。Aの表金額が5円のときは、Bが0円のときだけ勝つので 通り。Aが10円のときは、Bが0円または5円のとき勝つので 通り。Aが15円のときは、Bが0円、5円、10円のとき勝つので 通りである。よって であり、 である。
引き分けは、AとBの表金額が等しい場合である。金額0,5,10,15に対して場合の数はそれぞれ なので、合計 通りである。したがって である。
(2)
ゲーム終了後にAさんが持つ金額を数える。Bさんの4通りについて、表金額と裏硬貨の合計金額はである。
Aさんが勝つと、Aさんは自分の15円に加えてBさんの裏硬貨を得る。Aさんが負けると、Aさんは自分の裏硬貨を相手に渡すので、Aさんの手元には表が出た硬貨の金額だけが残る。引き分けなら硬貨のやりとりはなく、Aさんは15円のままである。
Aの表金額ごとに、Bの4通りに対するAの終了後金額の合計を出すとである。よって全32通りにおけるAさんの終了後金額の総和は である。したがって期待値は である。
別解
解法2(増減額の期待値)
方針
勝敗の確率は解法1と同じく全32通りから数える。期待値は終了後の所持金を直接列挙せず、初めの15円に「Aが勝って受け取るBの裏硬貨の期待額」を足し、「Aが負けて渡すAの裏硬貨の期待額」を引く。Bの出方、Aの表枚数をそれぞれ固定すると、独立性を使って短く集計できる。
解答
(1) Aの表金額は0円、5円、10円、15円で、その場合の数は順に (1,3,3,1) 通りである。Bの表金額は0円、5円、10円、15円が各1通りである。したがってAが勝つ場合はであり、引き分けは (1+3+3+1=8) 通りである。全32通りは同様に確からしいからである。
(2) Aの初めの所持金は15円である。まず、Aが勝って受け取るBの裏硬貨の期待額を求める。
Bの表金額が0円のとき、確率は (1/4)、裏硬貨は15円であり、Aは少なくとも1枚が表なら勝つ。その確率は (7/8) である。Bの表金額が5円のとき、裏硬貨は10円で、Aが勝つのは3枚中2枚以上が表のときだから確率は (4/8) である。Bの表金額が10円のとき、裏硬貨は5円で、Aが勝つのは3枚すべてが表のときだけだから確率は (1/8) である。Bの表金額が15円なら受取額は0円である。よって受取額の期待値は円である。
次に、Aが負けて渡すAの裏硬貨の期待額を求める。Aの表が0枚、1枚、2枚のときの確率はそれぞれ (1/8,3/8,3/8)、裏硬貨の金額は15円、10円、5円である。このときBに負ける確率はそれぞれ (3/4,2/4,1/4) である。Aの表が3枚なら負けない。したがって支払額の期待値は円である。
以上より、終了後のAの所持金の期待値はである。
総評
難度4、計算量5。目安時間は18分。確率自体は全32通りの有限な場合分けだが、硬貨のやりとりが「相手の裏硬貨」だけである点を読み違えると期待値が大きくずれる。勝敗判定には表金額だけを使い、終了後の金額には裏硬貨の移動を反映する、という2段階で整理するのが安全である。Aの表枚数でまとめると表が小さくなり、勝ち・負け・引き分けの各場合を同じ表で確認できる。期待値では単位が円であることも最後に明記したい。 第2解法では、受取額と支払額を別々の確率変数として期待値を計算し、直接列挙の結果を検算した。