方針
各距離を ∣x−a∣2 の形で展開して (1) を示す。(2) は x について平方完成し、最小点と最小値を読み取った後、辺の長さの式へ戻す。
解答
(1) PA2=∣x−a∣2=∣x∣2−2a⋅x+∣a∣2である。PB2,PC2 についても同様に展開して足せばL=3∣x∣2−2(a+b+c)⋅x+∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2を得る。
(2) g=3a+b+cと置く。(1) の式を平方完成するとL=3∣x−g∣2+∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2−3∣g∣2となる。第1項が0になるのは x=g のときに限り、この点は三角形 ABC の重心 G である。
さらにAB2+BC2+CA2=∣a−b∣2+∣b−c∣2+∣c−a∣2=3(∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2−3∣g∣2)だから、最小値は31(AB2+BC2+CA2)である。
別解
解法2
方針
最初から重心 G を基準にする。任意の点 P から各頂点へのベクトルを PG+GA などと分け、重心のベクトル和が0であることから交差項を消す。
解答
三角形の重心を G とする。位置関係を図示すると次のようになる。
重心の性質よりGA+GB+GC=0である。したがってL=∣PG+GA∣2+∣PG+GB∣2+∣PG+GC∣2=3PG2+GA2+GB2+GC2となる。
(1) OG=g=(a+b+c)/3 として上式を展開すればL=3∣x∣2−2(a+b+c)⋅x+∣a∣2+∣b∣2+∣c∣2となり、指定された等式が得られる。
(2) 上の重心基準の式から、L は PG=0、すなわち P=G のときに最小となる。またGA+GB+GC=0を用いて3辺の長さを展開するとAB2+BC2+CA2=3(GA2+GB2+GC2)である。よってLmin=GA2+GB2+GC2=31(AB2+BC2+CA2)となる。
総評
距離の2乗和を重心へ集約するベクトル問題である。目安時間は15〜18分。解法1は位置ベクトルについて平方完成する代数的な方法、解法2は重心を基準にして交差項を消す図形的な方法である。最小点が重心であることだけで終えず、GA2+GB2+GC2 を3辺の長さへ変換する計算まで示すことが重要。図とベクトル式を対応させると恒等式の意味も確認しやすい。
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出典: 九州大学 2018年度 前期 第3問 数学(文系)(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。